2006.1.2 更新
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一言書評
新書・専門書
『「三国志」の迷宮 儒教への反抗 有徳の仮面』 山口久和 文春新書 |
副題からも分かるように、思想史、とりわけ儒教イデオロギーの中での三国志の人物評の変遷を辿った一冊。筆者の専門は哲学史であり、その方面から引用される資料は膨大かつ多岐にわたり、さながら歴代著名学者の三国志人物評のコンパクトな概論の観を呈している。そのため曹操・劉備・諸葛亮論などは、比較的知られている事柄の反復といったおもむきがあり、「既に言い尽くされている事をなぞっているだけだ」という不満を抱かせる側面もあるが、引用文献の豊富さだけでも、十分に価値ある一書だと言えるだろう。最終章におさめられている「易学の歴史」は、一般の三国志ファンには馴染みが薄い部分だが、それだけに新鮮に感じられ、簡略にまとめられている点からも入門用の概説として一読の価値があると思う。(2001.4.30) |