2006.1.2 更新
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一言書評
新書・専門書




『文章読本』 三島由紀夫 
中公文庫


丹念な精読・味読こそ読書の真髄であるとする三島由紀夫の文章美学が浮き彫りにされた一書。スタンドプレイ的、あるいは実験的な表現や形式の効力には限りがあり、書き手も、そして読み手も古典的教養に基づいてこそ真の名作・味読にたどり着く事が出来る、と三島由紀夫は考える。「人間の心理は万古不変であり、また万国共通でありますから」(p155)という、三島由起夫にして楽観にすぎるこの愚言があるのか! という一節もある。しかし、評論というジャンルにおける日本のロジックの希薄さを十分承知しつつも、文章全体に関して、敢えて「例えば、正確な文章でなくても、格調と気品がある文章を私は尊敬します」と述懐するなど、三島由紀夫の唯美的文学観の面目躍如たるものがある。啓蒙書の体裁で平明な文体であるにも関わらず、数多くの実例に照らして解説が進む過程で、自ずと「格調高く」文学史の観を呈しているのは見事だ。(2001.4.30)



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