2006.1.2 更新
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一言書評
新書・専門書
『ムー大陸の謎』 金子史朗 講談社現代新書 |
かつて太平洋に浮かび文明を栄えさせたが、何らかの異変によって海底に埋没してしまった、と伝説されるムー大陸について、様々な側面から伝説の本質に迫ろうとする一冊。文献や口承による多くの伝承を渉猟(しょうりょう)しているのはもちろんだが、本書の特色は、そうした民俗学的なアプローチにとどまらないところにある。考古学や気候、海流、そして筆者の専門分野である地質学といった各方面からの実証的な考察は、なかなか興味深い。特に、珊瑚礁の形成過程に基づいた考察や、海底地震が巻き起こした津波の被害の実例を列挙し、太平洋上の島々の伝承と結びつけるくだりなど、門外漢の私は容易に説得されてしまいそうだ。一般に想像されているような幻の楽園といったイメージではなく、太平洋に散在していた海洋民族の隆盛を「ムー大陸」としてとらえる試みは、斬新に感じられる。(2001.9.20読了) |