2006.1.1 更新
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一言書評
日本の小説・随筆
| 井伏鱒二 『厄除け詩集』 新潮文庫 |
中国の漢詩の中から、井伏鱒二が愛好したものを選んだ訳詩集。漢詩というと堅苦しいイメージがあるが、それを覆(くつがえ)すようなユーモラスな訳を試みている。同書の中で最も人口に膾炙(かいしゃ)したのは、「酒ヲナミナミ注(ツ)ガセテオクレ コノ盃(サカズキ)ヲ受ケテクレ 花ニ嵐ノ例(タト)ヘモアルゾ サヨナラダケガ人生ダ」の一句だろう。原詩は「人生 別離足(タ)ル」と結ばれているのだが、それを「サヨナラダケガ 人生ダ」と日本人の情感にそぐうように翻案的に訳したあたり、井伏鱒二の秀逸な言語感覚が遺憾なく発揮されている。(1996.12.2. 読了) |