2006.1.1 更新
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一言書評
日本の小説・随筆


太宰治 『惜別』新潮文庫


日本に留学していた魯迅と、魯迅に誠意ある指導をした医学の師を描いた表題作のほか、鎌倉幕府三代将軍・源実朝を描く、『右大臣実朝』を収める短編集。『右大臣実朝』の方が特に気に入っている。資料を引用しながら淡々と述べる文体であるため、間延びして感じられないこともないが、実朝のセリフだけが全てカタカナ表記になっていて、紙面から実朝の高貴さが静かに浮かび上がってくるようだ。「アカルサトハ、ホロビノスガタデアラウカ」という一節に、清明な孤独感が溢れている。太宰文学中期、芸術至上的な雰囲気が濃厚な作品で、太宰自身の匂いを消そうとしている向きがあるのも、僕の好みにあう。(1995.5.23 読了)



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