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サザエさんなど、万人向けの4コマまんがとは一線を画した、いくぶんダークなナンセンス・ワールドを展開。巨匠というよりは、4コマ界のドンと言った方が相応しそうだ。
初期の『フリテンくん』は、その名から分かる通り麻雀狂を中心に据えた4コマだが、ギャンブル全般に留まらず、日常生活の些細な出来事でも意表をつくナンセンスギャグを連発していた。4〜5巻まではダークなエネルギーが炸裂していたが、段々と枠におさまったようなオチが増えてくる。
『フリテンくん』が主人公の属している社会的な背景を描かないのに対して、『かりあげくん』『のんきくん』の主役はダメサラリーマン。単なるオチこぼれではなくて、機転がきくのを仕事には活かさずに、どこまでも積極的にサボって上司を手こずらせるサラリーマン像を確立した。
『まさしくん』では三流大学のそのまたオチこぼれ学生たちを描いているが、『かりあげくん』『のんきくん』同様に、社会・体制の中に組み込まれながら、その枠の線上を出たり入ったりしている面々が描かれている。
『おとぼけ課長』でやや風向きが変わり、ダークさが影を潜め、一般受けするソフト路線への転向を果たしつつ、新聞連載『コボちゃん』にて、いわばサザエさん路線の家庭的4コマまんが家として自己をリニューアルした。
個人的には、『おとぼけ課長』『コボちゃん』はアクがなさすぎて物足りない感じがしてしまうし、『のんきくん』はその間延びした顔のせいもあり、のんきというよりは、むしろ「陰気くん」というに近く感じられる。ふっきれるような意外なナンセンスぶりでは『フリテンくん』の初期と『かりあげくん』の初期に軍配、そして全編通しての明るさで言えば『まさしくん』が最も秀逸だと思う。
ちなみに一時期の四コマまんが家は、相当強烈に植田まさしの影響を受けていた。田中しょうや松田まさおなど、今でこそ各自の画風を確立した4コマまんが家たちも、駆け出しの頃はほとんど植田まさしの模倣と言える画風だった。点目の人物を主人公に据えるのも植田まさしが多用した手法で、表情を消して、出来事の意外性を際立たせる効果があった。(2001.6.7)
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