2006.1.6 更新
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一言書評
漫画・アニメ



煮え切らない男に未来はあるか?

まつもと 泉


『きまぐれオレンジロード』


超能力を持ちながらも史上最強の優柔不断男、そしてなぜかモテる春日恭介と、彼をとりまく女性たちの、深みがあるよでなさそな恋愛ストーリー。恭介を一方的に慕いまくるひかると、その保護者のような鮎川まどかの二人のヒロイン。どちらも自分に正直でありながら、その行動は、かたや直情開放的で、かたや屈折内向的。古典的な対照(コントラスト)をなすこの二人の狭間で、春日恭介の心は揺れ続けている。ように見えるのだが、実際には、第一話から恭介の心は屈折内向の鮎川まどかにしぼられていて、純粋なひかるの心をもてあそび続けているストーリーなのが、悲惨である。延々と続く恭介のいいかげんさに終止符を打ったのが、恭介でも鮎川でもなく、それまでピエロ役であり続けたひかるだったのには驚いた。ひかるのクリアさがなければ、物語は永遠に収束できず、「きまぐれ」どころではない輪廻の餓鬼地獄のようになってしまったことだろう。ひかるの雄々しいまでのキャラクターを見て、昔は「こんな女の子がいるのかい」と思ったものだが、最近は思う。どうやら結構いるらしい(笑)世の中に渦巻く愛憎は、多くのクリアで強い女性の存在によって、泥沼にならずに済んでいことが多いのだと・・・男性たるもの、つつしまねばならん(笑)

数話ごとのオムニバス形式だが、そろそろ結末が近づくあたりで、過去に帰る話があり、それが大昔の第一話の話にリンクしているのには、結構引き込まれた。これを連載当初から想定していたのなら、なかなか見事な構成だが、おそらくはアドリブのような気がする(笑)

ちなみに、作者の画力が安定していないせいもあり、画風が結構変わる。とりわけ、物語の結末付近では、誰が誰だか分からないようなコマもある。しかし、これはまつもと泉だけの特徴ではないような気もする。というのは、男女の恋愛、とりわけ三角関係をモチーフにしたマンガでは、その関係に決着が着いた後の数話で、捨てられた女性(もしくは男性)が登場しなくなると、その顔の名残を受けるように、選ばれた方の女性(男性)の顔が変化するケースがよくあるような気がする。『ツルモク独身寮』では、ともみが消えた後、みゆきの顔立ちが一気に変わるし、『めぞん一刻』ではときおり五代君と三鷹さんが似てしまっていたり、『赤竜王』では項羽と劉邦がほとんど同じ顔になったり、と。物語の最後で作者の気が抜けるのか、それとも逆に力が入りすぎるのか、はたまた三角関係の波に消えた女性(男性)の怨霊か・・・身近な人の顔が急に変わってきたら気をつけよう(笑)(2003.8.24)



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