2006.1.1 更新
HOMEに戻る
Literatureに戻る



一言書評
海外の小説・随筆



ダニエル・キイス 『アルジャーノンに花束を』
訳/小尾芙佐 ハヤカワ書房


脳に障害をもつ青年が、手術によって一時的に天才的な頭脳をもつという物語。手術後、霧が晴れてゆくように、人間や社会についての認識が次々と押し寄せてくる、その様子が日記の形式で綴られる。主人公は、自分と同様の手術を受けたネズミのアルジャーノンに奇妙な親近感を覚える。この世で自分と唯一同じ境遇に置かれたアルジャーノンに花束を、というのは、取りも直さず、透徹した認識の奥に見た孤独に対する哀歌でもある。なお、知的障害を持つ無垢な人物とネズミという取り合わせから、スタインベックの『ハツカネズミと人間』を連想させられた。



HOMEに戻る
Literatureに戻る