2009.8.9 更新
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Essay (一言書評)
Literature (文学)
| レイモンド・カーヴァー 『Carver's Dozen レイモンド・カーヴァー傑作選』 訳/村上春樹 中公文庫 |
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(あらすじ) 短編小説10篇をメインにした作品選。何気ない生活の断片の中にで、事件が突然訪れるものもあれば、何も起こらないものもある。とりわけ印深いのは次の三編。『足もとに流れる深い川』、友人たちと魚釣りに出かけた川で、少女の水死体を見かける話。『大聖堂(カセドラル)』は目の見えない人に「大聖堂」を説明する話。『ささやかだけれど、役にたつこと』は、子供子供が誕生日に交通事故に遭ってしまう話。いずれも短い期間の出来事を、現実から切り取って来て簡潔な言葉に置き換えたような作品群。 |
| (一言書評) 十分に個性的で、十分に構成が安定していて、極限とも言えるほど贅肉(ぜいにく)をそぎ落とした表現でありながら、しかも読後には十分な言葉の潤いを感じさせる。一つの事柄を伝えるのに十の表現を用いて華麗に言うのも才能なら、十の事柄を一つの表現に圧縮して、抑制のきいた筆致で描くのも才能だ。レイモンド・カーヴァーは、あきらかに後者の、それもとりわけ際立った成功を収めている例だと思う。 生きるということ、死ぬということ、理屈ではないこと、悲しいこと、つまるところ、自分ではどうにもならないことや、抑制のきかない弱さが、シンプルな筆遣(ふでづか)いの下で、奇妙にリアルに浮かび上がって来る。何でもない街角を曲がったところに、ふと「つまり生きるっていうのは?」という問いかけが現れるような作品群。ささやかで、それでいて豊かで、しかも寂しくもある作品群は、好編といって片づけるには、あまりにも余韻に富んだものだった。(2001.12読了) |
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