2009.8.9 更新
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Essay (一言書評)
Literature (文学)


村松剛 『ユダヤ人 迫害・放浪・建国 中公新書
 

『旧約聖書』にはじまり、以後の気の遠くなるような流浪と迫害、民族としての結束、そしてイスラエル建国まで、ユダヤ民族の苦難の歴史を綴る。筆者の専門がユダヤではないがゆえに、かえって大きなスタンスをとることができ、ユダヤの歴史を平易に概観できている面があるだろう。

宗教によって団結し、前後二千年以上も国家なしに暮らしてきたこの民族が、つねに課題としてきたことは、第一には、宗教による民族は可能か、ということであり、次には、国家なき民族は可能か、ということだった。ふつうなら、国家ないしは国土と結びついてこその民族である。世界中にちらばって、なお民族は可能なのか。(p35)

ことさら文飾を施しているわけではないが、訴えるものを感じさせる、硬質で格調の高い文体であると思う。
執筆されたのは1963年であり、いささか古くはあるが、そのことによって同書の内容が損なわれるものではない。(2001.1.12)




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