2009.8.9 更新
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Essay (一言書評)
Literature (文学)


ダニエル・キイス 『アルジャーノンに花束を』
訳/小尾芙佐 ハヤカワ書房
 

 脳に障害をもつ青年が、手術によって一時的に天才的な頭脳をもつという物語。手術後、霧が晴れてゆくように、人間や社会についての認識が次々と押し寄せてくる、その様子が日記の形式で綴られる。主人公は、自分と同様の手術を受けたネズミのアルジャーノンに奇妙な親近感を覚える。この世で自分と唯一同じ境遇に置かれたアルジャーノンに花束を、というのは、取りも直さず、透徹した認識の奥に見た孤独に対する哀歌でもある。なお、知的障害を持つ無垢な人物とネズミという取り合わせから、スタインベックの『ハツカネズミと人間』を連想させられた。


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