ヤマサナエ
2002.6.9 神奈川県

 丘陵地の流れで見られる大きなサナエトンボ。このサイズのサナエトンボとしては最も普通に見られ、5.6月ごろ、カワトンボがいるような谷戸の脇の小川では、日が射し始めると樹上から舞い降りてきて小川の石の上などで縄張りを張っているのが見られる。しかしこうした環境は開発の対象になりやすく、特に都市周辺では丘陵地の急激な開発や、小川のコンクリート化・水の汚染等により生息地はかなり減少している。
 急速にニュータウン化が進んだ神奈川県東部の丘陵地では、かろうじて残された谷戸や公園の小川を頼りに細々と生き残っているようなところが多い。こうした生息地は、運良く鎖状にいくつか連なって残っていることで個体群を維持できているように感じるが、これがさらに分断されて孤立していくと次第に姿を消してしまうのではないかと思う。

 私の自宅近くの公園も元々は谷戸だったそうで、ヤマサナエがいてもおかしくない環境なのだがいまだに見かけたことはない。小川は年月が経ってコケが生えたり、薄く泥が積もっていて一見自然にも見えるが、よく見ると底が固められたかなり人工的なもので、周辺によい生息地がないことも原因ではないかと思う。サナエトンボの仲間ではコオニヤンマとオナガサナエを毎年見かけるが、これらも今のところここで発生しているという確証はない。このページの写真はムカシヤンマを探しにかなり郊外まで出かけたときのもので、久しぶりに1ヶ所で何個体もの♂が縄張りを構えているのを見ることができた。


 肩の淡色斑が太い傾向があるので、上から見るとよく似たキイロサナエよりむしろ「黄色い」ような印象を受けてしまうことも多い。しかし顔面は黒く、上唇にキイロサナエのような淡色斑がない。
 ▲光線状態が悪かったので、順光側に周りこめないかと思っていると、一直線にこちらに向かってきて、そのまま靴にとまられてしまった。ヤマサナエに限らず、地面に張りつくように止まって縄張り活動をする種ではしばしばこういった事が起こるようで、縄張り活動の足場としては石も靴もさほど区別はないようだ。  ▲♂の上付属器は上から見ると内向きにわずかに湾曲している。キイロサナエではこれがより直線的。副性器(♂の腹部付け根付近下側の突起物)の形状もポイントなのだが、野外では翅に重なりやすいのでこれがなかなか確認しづらく、今回も写真はうまく撮れなかった。




♂ 2002. 5. 22 神奈川県
 
 

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