タカネトンボ
2002.9.10 神奈川県

金緑色の光沢の美しいエゾトンボ属の中でも最も普通に見られる種。丘陵地から山地の木陰の多い池に見られ、寺社の境内池や、水槽のような非常に小さな人工水域でも見られる。 
  10年ほど前、なんとなくトンボが気になり始めていた私は、たまたま持っていた探鳥地案内に載っていた横浜市の谷戸へふらりと出かけてみた。この時は自宅からそう遠くない所にこんな豊かな農村風景が残っていたのか、とまず驚いたのだが、その谷戸の一角にある溜池を覗いたら、早速図鑑で憶えていたタカネトンボが金緑色の複眼を輝かせて低く飛んでいるのが目に入った。やっぱりこういう所にはいるんだ・・・と感心したのだが、しかしどういうわけかそこではその後何度通っても再び出会うことはできなかった。こんな経験からも、似た環境で見られるヤブヤンマなどに比べて、都市周辺ではかなり衰退しているのでは?という印象を持っている。しかしある程度生息している場所で長時間粘っても、ちょっと現れてすぐ消えるようなことが多いので、実はタイミングを逃している面も幾分はあるかもしれない・・・?とも思っている。 
 その後他の場所では何度か出会ったものの、ちょっと池の岸を飛んだだけですぐ消えてしまうので撮影は難しく、どうしたものかと思っていた。ところが最近、なんと実にありがたいことに、このHPを見て下さっていた方からわざわざメールを頂き、県内の撮影しやすい場所を教えて頂いたのだ。しかし行ってみて驚いたのだが、その小さな池にはなんと水がほとんどなく、おまけに天気予報も大ハズレで雨が降り出したのでこれはまた駄目かと思ってしまった。しかしそれでも諦めきれずに近くにあったもう一つのさらに小さな池で粘ったところ、夕方4時を回ってようやく現れ、5時を過ぎて最後の最後にどうにか撮影できた。久しぶりに間近で見る金緑色は美しく、やはりなかなかに魅力的なトンボだった。しかしそれにしてもメインの池の水位低下が一時的なものなのかどうか、個体数の多い所だったと聞いているだけにかなり気になる所だ。

 


▼2002.9.20

 例の池は残念ながらやはり干上がったままだった。どうも隣の沢で3年ほど前にかなり護岸工事が行われたようで、これも何か関連があるのだろうか?この池ではルリボシヤンマも多く見られたというが、やはりこの日も全く現れず、小さい方の池(というか小さすぎる・・)で、相変わらずタカネトンボが時折単独で飛んでいた。どうやら神奈川のトンボの穴場がまた一つダメになってしまったようで本当に残念だ。
 気温が下がりすぎたせいなのか、はたまたもう弱っているのか、午後2時ごろやっと現れたタカネトンボは何度もその辺の植物に止まったり飛んだりを繰り返していた。しかしおかげでその度にデジカメの設定を変更するのに手間取ってしまい、前回よりチャンスが多かった割にたいして撮影できず、実に歯がゆいことになってしまった・・・。しかしそれにしてもタカネトンボの複眼は綺麗だ。

 
 



 この仲間には、エゾトンボ、ハネビロエゾトンボといった、もっと珍しい”そっくりさん”達がいる。実は今までタカネトンボは飛んでいる所しか見たことがなくて、厳密にいうと「絶対タカネである」と確認したことはなかった。しかし私のこれまで歩いた範囲で他の2種に出会う可能性はほとんどないに等しいので、普通に考えればまずタカネということになる。今回も止まっている間になんとか撮影するのに精一杯だったのだが、後で見たらちゃんとタカネの♂の印である腹端部の形がどうにか写っていた。タカネトンボの上付属器は付け根が細くてその先が急激に広がっているが、エゾトンボはこれが全体に細くてうねった針のように見え、ハネビロエゾトンボでは全体が太い感じに見える。