ムカシトンボ
2002.5.2 東京都

 源流部に住み、サナエトンボを思わせる体とイトトンボのような翅を持つ特異なトンボ。多くのトンボの先陣を切って現れ、春の渓流の上を飛び回る。♀は沢の水際の植物の茎などに産卵する。沢の水際に生えた植物に付けられた産卵痕を見ていると、本種の生息には澄んだ流れと植物が近接している環境が必要なことがよく解る。
 
 この日はこれでシーズン3度目の挑戦 (前2度は撮影できそうな場面にさえ出会えなかった)、 朝から晴れるということで早めに出かけたが、山だからなのかどうなのか、 やっぱり曇っている。10時を過ぎ、やっと雲の隙間から日が差し始めるかどうかというころ、 時々♂が沢の上の低木の葉先をつつくようにホバリングしているのが見え始めた。 その後自分のいる場所から5mほど上流側で、沢の上すれすれにしばらくホバリングしているのが見えたが、すぐに上流に消えてしまった。なんとなくまたそこに来るかもしれない気がしたので、その場所に移動してしばらく待つと、案の定再び現れ、足元の手の届きそうなところでホバリングし始めた。あいにく曇りがちなので、ここは無難にストロボを使い、もちろんピントを固定して撮影した。しかしやはりピントを固定しているのでちょっと距離を見誤るとボケるし、タイミングがずれて画面の隅に半身だけしか写らないようなことも多い。しかしだからこそ飛翔撮影はなかなかスリリングで楽しいとも言える。時には何を思ったかこちらの肩や頭を突つかんばかりに数センチの所まで寄って来てしまったりした。こういう時はいきなり手を動かすとびっくりして逃げてしまうので撮影することもできず、ただ茫然と眺めているしかなかった。

▲現場で再生してみたら思いきりカメラ目線(?)で写っていたので笑ってしまった。後翅の付け根が柄のように細く、前翅と同じような形をしているのが判る。これがサナエトンボ類などとは違い、イトトンボ類やカワトンボなどの「均翅亜目」的な特徴の一つで、この辺が本種独特の、「どっちつかず」な不思議な雰囲気を醸し出している。

  実は昨シーズン使っていたCoolpix800が、冬は鳥、夏はトンボと酷使したのが祟ったのか冬のうちに故障してしまった。 修理には出したものの、混んでいるとかでなかなか帰還せず、 すぐ使いたい用もあったので結局Coolpix995に乗りかえることになった。 800よりだいぶ多機能な分複雑で、最初はどうにもうまくいかなかったが、 ようやく使い慣れてきたところだ。今回ムカシトンボの撮影に当たって、 自分の指をホバリングするトンボに見たてて震わせたり(笑)しながら、 事前に何度も試し撮りしてみたが、これはやっておいて正解だった。鳥の方でもこの機種の愛用者が多いが、 トンボ撮影にもなかなか使えるようである。


 
 

 
▲強く日が射していた時に自然光で撮ったもの。このカットだけがどうにか止まってくれていた。もちろんこちらが現場で肉眼で見た色に近い。


トンボフォトギャラリー