モートンイトトンボ
2002.6.19 神奈川県
6.7月ごろ、山寄りの休耕田などの丈の低い草の生えた湿地で見られる小さなイトトンボ。生息地では比較的多くの個体が固まって見られるが、このような湿地環境はかなり不安定なこともあり、生息地は限られる。乾燥化したり草が伸びすぎたりするとたちどころにいなくなってしまうようだ。オレンジ色の腹端部が美しいが、あまりに小さいので目立たず見つけにくい。

モートンイトトンボは、昔買った小さな写真図鑑には「湿地や水田に発生する」としか書いてなかったので、トンボ探しを始めた頃は、その辺の田んぼを注意して見ればいずれ見られるだろうとたかをくくっていた。ところがそのころよく行っていたいくつかの谷戸では、春にはシオヤトンボがそこそこ、夏にはひたすらオオシオカラトンボとオニヤンマが目立つ、といった感じで、田んぼをいくら見てもモートンイトトンボどころかイトトンボ類自体ほとんど見かけなかった。小さな休耕田にはたまにハラビロトンボを見かけたが、田んぼや休耕田のイトトンボを細かく探すというのも、あまりにも収穫がないとさすがに根気が続かず、いつしか探す気も失せてしまっていた。それでも一体モートンはどこにいるんだろう?と長いこと思いつづけていたのだが、ようやく最近になって確実な生息地を知ったので、梅雨の晴れ間を狙って見に行くことにした。
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そのエリアに足を踏み入れて、まずコオニヤンマの数の多さに度肝を抜かれた。自宅近くでも毎年少数は見られるが、これほどの数は見たことがない。とにかくどこを歩いてもコオニだらけなのだ。そして草の茂った休耕田を覗くとハラビロトンボがたくさんいる。これだけでもやはり環境の差をまざまざと見せつけられる思いだ。しかし肝心のモートンイトトンボはなかなか見つからない。いくつも休耕田を見ていくと、やっと感覚的に一番モートンのいそうな・・・と思える休耕田にぶつかった。そこで早速畔から覗いてみると、案の定足元にいくつものオレンジ色の物体が浮遊しているではないか。一瞬、あれ?♀ばかり??と思ったが、程なく♂もいくつも見つかった。どうも♂はじっとしているとかえって見つけにくい気がした。肩の黒条と、唐突にオレンジ色な腹端、という配色が、一種の分断色(強いパターンがあることで逆に一つの「塊」として認識されにくい)になっているのだろうか。 その後周りの休耕田も探したが、やはりモートンはよほど気難しい性格なのか、確認できたのはなんと結局この休耕田一枚だけだった。確かに他の休耕田は草丈が高くなりすぎていたり、それぞれ微妙に雰囲気が違う。これでは遷移が進むと近いうちにいなくなってしまいそうに思うのだが、それどころかここは実は道路建設計画があるのだそうで、モートンイトトンボをはじめとする生物への影響が大変心配されている。ここを歩いていると、風景といいトンボの密度といい、県内では今や大変貴重な場所であることがひしひしと実感され、ここに本当に道路なんか通してしまうのか?!と思うと全く残念でならない。一応いろいろ指摘を受けて一部計画変更はされ、「環境に配慮した(?)」道路にするとは言っているのだそうだが・・・。 モートンイトトンボは、田んぼが休耕になって条件が整うといつのまにか発生していたりするということからすると、小さい割には移動能力があり、見つけづらさからしても実態は掴みにくいので、実は気付かぬところで発生していたりする可能性もありそうなのだが、しかし、ということは逆に気付いたらどこにもいなくなっていたりもしかねないのではないかという気がする。一度沢山いる場面を見てしまうと、探せば案外いるのでは?とつい思いたくなるものだが、やはり好む環境はかなり限定されているようで、移動可能な範囲に休耕田湿地やその予備軍である農地がある程度広範囲に連続して残っていないと、将来的に存続は厳しいのではないか、という気がする。 |
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モートンイトトンボは眼後紋の形がちょっと変わっていて、ブーメラン型、或いはハート型に見える。
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