クロイトトンボ

 平地から丘陵地の池の浮葉植物や沈水植物のあるところで見られるが、この仲間(クロイトトンボ属)の中では最も普通に見られ、しばしばかなり人工的な池のほんの僅かな浮遊物に止まっているのもよく見かける。セスジイトトンボなどよりは周囲に木立のある暗い池を好む傾向があり、庭園の睡蓮池のような所にも多いが、河川など比較的明るい所で目にすることもある。


▲2002.7.6 神奈川県川崎市

 腹部が先端(9節・8節)の青色部を除いてほとんど黒いのが特徴で、同じ池にオオイトトンボがいると違いがよく判る。オオイトトンボ(セスジイトトンボ・ムスジイトトンボも同様)は腹部の節ごとに水色の斑があるので一段と派手に見え、この色のせいもあってオオイトトンボ等の方が肉眼で遠目から見ると一回り大きく感じることも多い。クロイトトンボの♂は成熟すると胸部がシオカラトンボのように粉を吹くため、明瞭な黒い筋が見えなくなる。


▲2002.7.6 神奈川県川崎市

 ここはコンクリートの噴水池で、ほとんど植物がないのだが、噴水の波と風で珪藻が吹き寄せられたところで毎年交尾・産卵を確認している。それにしてもここは珪藻だけでなく様々なゴミも吹き寄せられていて見るからに汚い。しかしクロイトトンボはそうしたゴミや落ち葉に止まって縄張り活動や交尾・産卵を行っている。この写真ではアイスクリームの容器、下の昨年の写真はバトミントンの羽である。クロイトトンボ自身は単純に白くて目立つものに止まっているようだが、端から見るとやっぱりなんとも言えぬ光景ではある。

 また、公園などにビオトープができると早速住みついてることも多いが、見た目似たような場所でもいない所にはいないのだから不思議だ。実は最近ビオトープを造る際に他所から持ち込まれた水草によってイトトンボ類の卵もいっょに移入されてしまう例があるそうだ。神奈川の例ではベニイトトンボやコバアオイトトンボが発生したそうで、これらは本来そこにいない種なので移入であることが判ったらしいが、これがクロイトトンボだったら自力で飛んできたものと区別できないだろう。


▲連結産卵 2001.6.9


▲♂未熟

 この時はクロイトトンボの未熟個体を初めて見たので, 「えっこれは何??」と思ってしまったが、よく見ると全体に黒色部が多いので、そうかこれがクロイトトンボの未熟個体か、と思い当たった。オオイトトンボなどに比べ腹部先端の上付属器が長く、肉眼でも割と見えやすい。