ハラビロトンボ
2002.6.19 神奈川県

 丈の低い草の生えた湿地で見られる小さくて太身のトンボ。そのような環境の多い地域ではまだ普通と言えるが、都市周辺からは姿を消しつつある。シオカラトンボなどよりずっと小さく、幅の広い腹部が特徴的。♂は成熟すると白粉を吹いて青くなり、さらに老熟するとかなり白っぽくなる。
 
 東京近郊のトンボを探し始めた頃、横浜市の谷戸に出かけたら早速このトンボに出会ったので、結構普通なんだと思っていたのだが、そこではその後ほとんど見かけず、やはり都市周辺では結構貴重な存在なのだと思い直した、もっと湿地環境の多く残る地域まで足を伸ばすとまだまだ沢山見られる所もあり、似た環境を好むモートンイトトンボよりはやや柔軟性があるようだ。しかしさすがにこのような休耕田湿地は乾燥化が進んで単なる草地になってしまうことも多く、やはりかなり微妙なバランスの上に成り立っていると言える。この日はモートンイトトンボを求めて出かけたが、ここは私の自宅付近とは比べものにならないほど湿地環境がよく残っているので、ハラビロトンボもかなり個体数が多かった。やはりこのような多産地がどこかにないと、周辺地域からも姿を消してしまうのではないだろうか。

▲♀の腹部はさらに幅広く、まるでトウモロコシだ。この体型と模様のせいか、この角度から撮るとオートフォーカスでも随分ピントが合いやすい気がする。飛んでいると小さくてすばしっこく、意外とヒメアカネなどの小型の赤トンボの未熟個体に似た感じに見えた。
 


♂半成熟

▲半成熟の♂はこのように真っ黒で、一瞬何者かと思わされる。この姿もなかなか魅力的で、なんとなくこんな種がいていもよさそうな気もしないでもない。オオシオカラトンボなども白粉が出てくる前に黒化するのだが、黒化が始まると間髪いれずに白粉も出はじめていまうのか、これほどの真っ黒状態を見かけた記憶はない。たまにハラビロの生息地に出かけるとこのような個体がなかなか新鮮に感じたりする。トンボは一般に羽化後、林や草地、ものによっては山の稜線部にまで移動して未熟期をずごすものが多いが、ハラビロトンボは発生地の湿地の周りにとどまるので、いろいろな成熟段階のものが同時に見られる。

▲♀ 


▲♀



 
 
 

▲♂


▲♂


 
▼飛翔写真 2002.7.15追加