アオイトトンボ
2002.7.12茨城県
平地から丘陵地の挺水植物の繁茂する池沼に見られ、未熟期は林内の下草に静止している。成熟すると水辺に戻って生殖活動に入るが、オオアオイトトンボが主に水辺の樹木の枝に産卵するのに対し、本種は主に挺水植物に産卵する。

オオアオイトトンボと違い、成熟すると胸部全体が白粉に覆われて青白くなる。この個体も胸部下側から粉を吹き始めている。腹部は第9節が粉を吹いている(オオアオイトトンボでは第10節)。
▲この風景でもヤンマはほとんど飛ばなかった・・・
ここでは沼の周囲の林床で、数頭のアオイトトンボを見つけたが、どうも数はあまり多くないようだ。この沼は周辺の開発が進んで水脈が変わったせいか、水源の湧水が激減し日照りが続くと水枯れになってしまうので、現在は人工的に水を補給しているのだそうだ。(確かにに沼のすぐ上まで新興住宅地が迫っている)奥まった岸には葦原があるのだが、なんだかそれにしても随分水位が低く、この日も葦原から水際までがかなり離れてしまって沼底が露出している所が多かった。梅雨と台風の後ですらこの状態なので、渇水時にはかなり干上がっているのではないか?と思うのだが、これでは本種はじめ挺水植物の茂る沼地に住むトンボはかなり住みづらそうだ。どうも変な所だと思いつつ、一応日暮れまで粘ったのだが、やはり残念ながらヤンマの黄昏飛翔もほとんど見られなかった(数回大型のトンボが飛んだが、どうもギンヤンマとオオヤマトンボだったような気がする・・)。日中比較的目立っていたトンボはコフキトンボ、ウチワヤンマ、オオヤマトンボ、ギンヤンマなど、比較的植物の少ない池でも住めるような種で、一見いてもよさそうに思えたアオヤンマの姿はやはり見当たらず、最も多かったのは周辺の田んぼから集まっていると思われる多数の未熟なノシメトンボであった。この風景からするとほんの一昔前までは非常にトンボ相の豊かな沼だったのではないかと思えるだけに大変残念だった。このようにその池沼自体が無くならずとも、周辺の都市化が進んで土地の保水力がなくなることで水量が安定しなくなり、トンボ相が単調になってしまう例もやはり多いのではないだろうか。一方、ここに来る途中に渡った利根川は台風の後で河川敷一杯に全て浸水し、濁流の海と化していて驚いたのだが、それにしてもこの水量のアンバランスは一体何事だろうか?やはりどうも降った雨水が森に蓄えられることなく一気に下流へ下流へとひたすら排出されてしまうような形態に、日本全体がどんどん移行してきたということではないだろうか・・・。
トンボは気象条件などによって見つかりにくいこともあるために、ある場所のトンボ相については、たまに訪れただけで少ない少ないと言うのもフェア-ではないのも確かなので、ついつい探し足りないのか?とも思ってしまったりすることもあるのだが、それにしても最近どうもやっぱり何かがおかしいのではないか?と思う所が多く、良好な環境が保たれ、本当にトンボが種類・数とも多いという場所というのはやはり非常に少ない気がする。

私の住む神奈川県東部の丘陵地ではオオアオイトトンボが比較的普通種だが、もともと池が少ないせいかアオイトトンボはかなり少なく、一般的には一応は普通(?)というイメージの割には意外と見れない種という印象だ。以前から他地域に出かけた際にちらほらと見かけた記憶があるのだが、なぜかまともに撮影していなかった。
我が家から丘一つ越えた所には、半分埋め立てられ、今にも消えてなくなりそうな小さなガマの茂った溜池?があり、以前この池の傍で1頭だけ見つけたことがある。自宅近くにはいないものと思っていたので、「えーっ!いるのかぁー!!」と思ったのだが、手ぶらだったので写真は撮れなかった。この池はあまり見やすくないところで、ここに定着しているのかどうかも今一つ判らない。昔からこんな風に池自体が埋められていなくなった所も多いのだろう。
