Barabensis,などの可能性がある個体 第一回冬羽
2003年1月13日、24日、 3月1日 銚子漁港 



<渡辺義昭氏撮影 2003.1.13

 今シーズン同所で数回観察されているこの個体は、頭から腹まで非常に白く、それに対して雨覆などは暗色傾向が強く、セグロカモメの群中ではかなり異質な感じがする。

 頭から下面が白い点ではmongolicusに似るが、大雨覆や内側初列風切が暗色傾向なため、翼のパターンはホイグリンカモメ(taimyrensis/heuglini)にも似ている。そしてこれらの点を併せると、全体に色彩はcachinnansに似ている。ただ、典型的なcachinnansほど嘴や頭部が長い印象はなく、もう少し頭が丸くて前後の幅がない、どちらかというと可愛い印象に見える。

 この個体は以上どれかのバリエーションという可能性は考えられるが、しかしこれらの点を全て総合するとこの個体に最も近い特徴を持つフォームは、実はbarabensis(アルタイキアシセグロカモメ:和名は[日本の野鳥590]より)ではないかと思える。

 現在参照できるbarabensisの写真は2月から3月頃に中東で撮られたものが大半だが、冬期の中東ではcachinnans, baranensis, heuglini, fuscusといったユーラシアの様々なフォームが混在し、例えばcachinnansの♀タイプの小さい個体とbarabensisが難しい場合等々、識別はかなり難しいことが多いようだ。また中東のものは日本に比べ、はるかに幼羽の磨耗が甚だしい場合が多く(気候などの違いによるもの?とも思われる)、幼羽の模様などは比較しづらいことが多い。中東の越冬地で試みられているこれらのフォームの識別もまだかなり試験的な面も大きいようなので、結論はなかなか出しにくいが、現在のところ、とりあえず外見上この個体に最も近いのはbarabensisではないか?と考えている。

 なおbararensisはキアシセグロカモメ(Larus cachinnans)の一亜種などとして扱われるが、ホイグリンカモメの一亜種とする場合、あるいは独立種とする場合など、例によって分類に関しては諸説あるようだ。



▼渡辺義昭氏撮影 2003.1.13


翼下面は縞に覆われている。ある程度個体差などもあって一概に言えないようだが、cachinnansでは翼下面はもっと白っぽいのが典型的とされるようだ。


▼氏原道昭撮影 2003.1.24 

この日は夕方薄暗くなってから突如現れた。セグロカモメより比較的明瞭に小さく見えることが多かった。背後に座っているのがセグロカモメ幼羽→第一回冬羽。

 その時の状態によっても印象が変わるが、cachinnansはこの個体より額が低くて嘴もより長く、頭全体がかなり前後に長く見えるのが典型的なようだ。ただこれもcachinnansの♂と思われる大形個体ではしばしば非常に顕著だが、♀の小型個体等ではこの個体程度に見えることはありえるかもしれない。またcachinnansを東西二つに分けた場合、東のもの(L.c.cachinnsns)は西のもの(L.c.ponticus)ほど極端に長い形態ではなく、barabensisとの中間的ともいわれるようなので、特に♀の場合など、barabensisにほとんどそっくりな場合がありそうに思われる。しかしいずれにしろこの辺りのフォームについては極端に資料不足である。


大雨覆が暗色の帯に見える。嘴そのものの長さはしばしばむしろセグロカモメより短めに見えた。



▼渡辺義昭氏撮影 2003.3.1




▲全体のおおまかな色調は「体が白い、翼は暗い」、という印象。


Birdsnapsより参考URL
http://www.birdsnaps.com/barabensis/barabensis1win.htm
http://www.birdsnaps.com/barabensis/unIDs_win1.htm