ホイグリンカモメ
 Larus heuglini
Jan. 12th 2005, Barka, Oman


バルカの大型カモメ類の群の80%前後はホイグリンカモメで占められていた。とにかく日本で見られるホイグリン/ホイグリン系カモメと予想以上にそっくり、というのが第一印象だった。思ったより頭に斑がしっかりある個体が多く、脚の色もそれほどはっきりした黄色ではなくて肉色がかっているような個体も意外に多かった。

上面の灰色に関しては、日本のホイグリン系個体ではセグロカモメ(vegae)と変わらないような個体がよく見られるが、オマーンではさすがにそこまで薄い個体はいないように見えた。単独で見た感じでも確かにvegae(Kodak 6 or7)よりは確実に濃いだろうと思えるのが普通で、個体差もかなりあるが感触としては大体ウミネコくらいかなという個体が多かった。Olsenの「Gulls」ではKodakグレースケールで8−11となっているが、現場でグレースケールと比較して見た感じでも確かにその辺が妥当なところだろうという印象を受けた。しかし一方これまでの海外のウェブサイトや図鑑の写真などから想像していたほど濃くないと感じることも多かった。特に、時々見かける一見ニシセグロカモメの基亜種fuscusと大差ない?かのように濃く写っている写真は、明らかに光線状態や撮影機材、印刷の色味等の影響によるところが大きいと思う。

初列風切の換羽の進行状況はかなり個体差が大きいが、1ヶ月〜1ヵ月半くらい前の銚子のセグロカモメ(vegae)とちょうど同じような状態なので、この点も日本で見るホイグリン/ホイグリン系と同じような傾向。初列風切のパターンは、日本のホイグリン/ホイグリン系の傾向と比較すると、黒色部が多く淡色部が小さいという‘ホイグリンらしい’傾向がやはり平均するとより強いとは感じた。時期的にまだ換羽中のため確認しづらい面もあったので、必ずしも十分な数の個体をチェックできてはいないと思うが、特にP9の両端をべったり覆うような大きなミラーがある個体は見た範囲ではいなかったように思う。黒色部は7枚かもしくは8枚ある個体が大多数。しかし初列風切のパターンに関しても日本でも中東でも当然個体差もあるし、もちろん互いにかなりの部分オーバーラップしている。





この2個体は静止時上面に3枚の初列風切が見えるので、まだP8が最長という状態。P9とP10はこれから伸びてくる。これくらいかもしくはP7が最長という個体が平均的で、このような個体が70〜80%くらいを占めていたように思う。



手前は換羽の早い個体で、ほぼ完了に近い状態。奥は逆に遅い個体でまだ数枚の旧羽が残っており、新羽はまだ大変短い。換羽状態に関してはこの2羽が両極端で上の写真の2羽が平均的と思ってもらって間違いないと思う。



上と同じ2個体



海外のウェブサイトなどで見られる中東のホイグリンカモメの写真は従来2〜3月に撮られたものが圧倒的に多く、完全な冬羽ではどんな羽色なのか、実は不明な点も多かった。今回1月という時期を選んだのもその辺を確かめるためでもあったのだが、全体に想像していた以上に頭にしっかり斑がある個体が多く、中にはこの個体のように肩から胸側付近までびっしり斑がついてる個体も見られた。ただしセグロカモメ(vegae)ではさらにもっとボタボタと太く大きな丸斑やぼやけた斑が出る傾向がある。



この画像は上面がかなり薄く見える(ただし実際現場では日本で見るセグロカモメvegaeと同じというほど薄くはなかったように思う)。しかも逆光で脚の色が見えにくいので余計セグロカモメ的な印象を与えている。これほどではなくとも、日本で頻繁に見かける‘ホイグリン系個体’とどこが違うのか?という印象に見える個体や場合も全く珍しくはなかったのはちょっと驚きだった。一方、いわゆるセグロカモメとホイグリンカモメの中間個体(='taimyrensis'?)の一部が中東にも渡来している可能性も一応は考えなければいけないだろうとも思うが、しかしではどこまでがheugliniの個体差でどこからが‘中間個体’や'taimyrensis'なのかというと、やっぱりこれもはっきり線を引くのは難しい。






この画像では上面の色は濃く見え、こう見るとやはりさすが中東という感じもする。右の個体の方が少し濃いようで、このような個体差も普通に見られた。ただし脚は2羽とも肉色がかっていて、さほど鮮やかな黄色ではない。