日本周辺のセグロカモメ類似種/亜種一覧 2004年3月 2006年7月更新

この仲間は複雑でなかなか一般には解り難いと思うので、現段階での各亜種の大体の関係を把握しやすいようにまとめてみた。なお、カモメ類の分類に関してはある程度流動的な面は常につきものであり、このページも更新日時点での位置確認、紹介程度のものであり、解説や細かい分け方、線引き等についても「最終結論」とは限らないことに注意。また写真は代表的な個体の1例であり、実際にはもっと様々な個体差等が見られる。また実際の野外識別では一見してわかるようなケースももちろん多いが、一方で常に結論が出るわけではないことも心に留めておこう。

ホイグリンカモメ
Larus heuglini



脚は黄色。背の色はウミネコに近い。嘴の赤斑は大きい。体型は細めで翼は長めの傾向。換羽時期はセグロカモメより遅い。

 

<<<ホイグリンカモメ―セグロカモメ>>>
'taimyrensis', 中間個体?

この間にはセグロカモメ寄りからホイグリンカモメ寄りまで連続的に様々な個体が観察され、明確な線引きは難しい。

90年代ごろにはL.heuglini taimyrensisとしてホイグリンカモメの一亜種として扱われることも多かったが、近年は
セグロカモメとホイグリンカモメの交雑個体群もしくは中間個体群'taimyrensis'として扱われる場合が多い。

したがって、この流れに従うならば、日本での観察では基本的には背の色がセグロカモメよりかなり明確に濃いもの(ウミネコ程度?)のみをホイグリンカモメ
Larus heuglini と見るのが妥当と思われる。

(※注)▼

セグロカモメ Larus vegae


脚はピンク。頭の斑は多く質は比較的柔らかめ。目の色は変化が多い。初列風切の黒は5〜7枚で6枚の個体が最も多い。換羽時期は中程度。主に12月〜1月頃完了。

なお西寄りのものをbirulaiという亜種として分ける場合もあるが、この分類群は無効との見解(Pierre Yesou 2002)もある。

モンゴルカモメ
(キアシセグロカモメ)
Larus cachinnans(?) mongolicus


脚はピンクの個体が多い。頭の斑は細い線・点状の傾向で量は少なく、頭がかなり白く見える。初列風切の黒はセグロカモメよりやや多めの6から8枚で、7枚の個体が突出して多い。嘴に黒斑がある個体が多い。換羽時期は平均してセグロカモメより早い。嘴、首、脚など全体に幾分長い感じに見える“傾向”がある。
カナダカモメ
Larus thayeri


セグロカモメよりやや小さめで、嘴が小さく足が短い。背の色はやや淡く、頭の斑はセグロカモメより柔らかい。初列風切の黒は5〜6枚でごくわずかに灰色味があり、内弁が淡くストライプ状のパターンになる。
ウスセグロカモメ
(アメリカセグロカモメ)
Larus (argentatus) smithsonianus



背の色は淡く、目の色はほとんどの個体で淡色。頭の斑は柔らかくて多い傾向。

 


 
 
 
 
 

(※注)情報量が今より圧倒的に少なかった80年代には、モンゴルカモメ(キアシセグロカモメ)mongolicusの越冬状況そのものがほとんど知られておらず、特に成鳥冬羽についてはどのような姿をしているのかすら正確には把握されていなかった。こうした時代背景などもあり、現在でいう'taimyrensis'(及びホイグリンカモメ)は当時mongolicusとしばしば混同されていた(Grant他この頃の欧米の書籍にもそのような記述がある)。そのためそれを引き継ぐ形でその後の図鑑等でもこのタイプと思われるものをキアシセグロカモメmongolicusなどとしている場合がある。

※このように現在とは全く比較にならないほど情報量の乏しかった時代の判断等について、あり余るほど情報量に恵まれた現在の知識でもって安易に批判しにかかる人が稀にいるが、これは全く不適切としか言いようがない。確かにこうした分野は、流動的な部分や時代により不統一な部分に出くわして戸惑ったり疑問に感じたりすることもあると思うが、しかしだからといって安直に批判的言動に走るのではなく、まずは時代の流れや情報量の劇的な変化といった諸事情も正しく把握した上で物事を理解しようと努めるのが正しい姿勢だろう。