最新・カモメ情報 2013.2.5 千葉県銚子市 M.Ujihara

モンゴルセグロカモメ Larus (?) mongolicus 成鳥冬羽→夏羽

モンゴルセグロカモメ第1回冬羽を撮影中、少し左手を双眼鏡で見るとこの成鳥が目に入った。


頭の白さと嘴の黄・赤・黒の三色の鮮やかなパターンが一見してよく目立つ。頭の斑は後頸から側頸に限定され、かつ極めて細く鋭い。セグロカモメより全体にやや長い感じの体型も典型的。下嘴の赤斑が下嘴上辺から明確に離れているのも、Yésou 2001の記述によく一致している。


嘴はモンゴルセグロカモメの中でも長い方で、形状も直線的。このため頭部の白さとも相まって、発見した瞬間カスピセグロカモメの可能性が脳裏をよぎり、咄嗟に初列風切P10を確認したほど。しかしそのパターンは明らかにカスピセグロカモメのものではなく、落ち着いて観察すると全体の構造や印象も多くのカスピセグロカモメほど極端なものではなかった。モンゴルセグロカモメのjizzは概ねセグロカモメとカスピセグロカモメの中間的なので、個体や状況よってはこのようにかなりカスピセグロカモメを連想させることがある。ただし2009年に同所で観察したカスピセグロカモメはやはりこの個体よりさらに数段“カスピ的”構造・印象が顕著で、セグロカモメの群中ではより飛び抜けた印象を強く受けた。





足の色はセグロカモメよりピンクが淡く、遠目には肉色に見える。詳しく見ると蹼は比較的ピンク味が強く、踵の後ろ側に黄色味がある。これもYésou 2001のバイカル湖における捕獲調査時の足色の記述にも非常によく一致している。モンゴルセグロカモメの足の色については昔からしばしばピンクと言われたり黄色と言われたりと情報が錯綜してきたが、近年の経験や情報を総合するとむしろこのような微妙で曖昧な色合いこそが典型的な足色といえる。タイミルセグロカモメの足の色も同様に変化が多いが、より黄色〜橙の傾向が強い。



▲背景のセグロカモメ4羽との足色の比較。セグロカモメよりピンクが弱くその代わりに僅かに黄色味を帯びているのがわかる。


初列風切の黒色部はP10からP3まで8枚。 ミラーはP10の一個のみ。このパターンからはセグロカモメの可能性は低くなるが、一方タイミルセグロカモメとは重複しやすいため、やはり他の特徴も総合した判断が重要になる。前出のYésou 2001によると、バイカル湖で調査したモンゴルセグロカモメは大抵P10とP9の両方にミラーがあったが、成鳥67羽中7羽(10%)のミラーはP10の一個のみだったという。同様の個体は韓国その他の画像でもよく見かけ、2006年の中国でも複数観察したので決して珍しいものではないようだ。

参考文献:  Yésou, P 2001. Phenotypic variation and systematics of Mongolian Gull. Dutch Birding 23 (2), 65-82