最新・カモメ情報 2012.1.30 千葉県銚子市

今回も午前中はカモメ類が非常に少なかったが、午後にある程度回復してきた。カナダカモメ及びアイスランドカモメ亜種kumlieniまたは両者間の雑種(中間個体)は合わせて約10個体を確認。そのうち4個体が両者の境界線周辺に位置する微妙な外観の個体だった。なおこの辺りはいずれにしろ連続的で明確な線の引きようがなく、解釈・表現も色々ありうるので、以下のキャプションも典型的なカナダカモメ以外はある程度暫定的なもの。


 A

カナダカモメ Larus thayeri
前回も居ついていた個体。典型的カナダカモメ


初列風切の模様はP10〜P5の6枚


 B

カナダカモメ? Larus thayeri?
サイズはほぼセグロカモメ大で、しかもP9のミラーを欠く少し特異な個体。眼瞼が紫色なことからもシロカモメ×セグロカモメではない。ワシカモメ×セグロカモメなら比較的似た個体が生まれる可能性はあるかもしれないが、それにしてはやや嘴が小さく背が淡いような印象は受けた。


翼下面は淡色で、上面もストライプ状。しかしP9には舌状部のみでミラーと呼べるものがない。


眼瞼は紫色。


 C

カナダカモメ Larus thayeri
前回17日に市場の屋根に止まっていたカナダカモメ第4回冬羽。虹彩が淡色で嘴が長めなので、ややアメリカセグロカモメを思わせる顔にも見えるが、現場で見ると明らかに小柄で華奢。眼瞼も紫がかったピンク。


初列風切の模様は6枚。腹部に褐色斑が多く残っている。昨冬撮影された第3回冬羽の中に同一個体と思われる画像がある。


 D

カナダカモメ Larus thayeri
夕方飛んできたカナダカモメ成鳥。降りてすぐ飛んでしまったので静止像は撮れずじまい。初列風切の暗色部は一応6枚だが、P5のものが極めて小さい点だけなので、限りなく5枚に近い6枚というところか。


 E

アイスランドカモメ(kumlieni)×カナダカモメ? L.glaucoides kumlieni X L.Thayeri?
サイズは小さくなく、嘴や顔も長めで頭から胸の斑は濃い。初列風切の暗色部も比較的黒味があるので、全体的な印象はかなりカナダカモメ的。しかしそれでいて初列風切の白色部はかなり多く、北米のkumieniでもこれよりむしろ各羽先端の白斑が小さいものもいる。


初列風切の暗色部は5枚。P10はサブターミナルバンドがなく先端まで白い。P9のミラーは外弁まで完全に、しかも広く覆っており、これが外弁と先端の暗色部を分離している。十分kumlieniといっても差し支えないようなパターンだが、ただし暗色部は比較的黒味がありコントラストが強く見えた。典型的なアイスランドカモメの飛翔時のイメージよりはいくらか嘴や首が長いような印象もある。


このカットでは光線状態のせいか初列風切の暗色部がかなり灰色っぽく写っていた。これだけ見たらほとんどkumlieniにしか見えない。


 F

アイスランドカモメ(kumlieni)×カナダカモメ? L.glaucoides kumlieni X L.Thayeri?
2008年から観察されているこちらの個体かと思ったが、それより心持ち嘴が小さく感じ、初列風切のパターンにもいくらか違いがある。昨年よく似たやや若い別個体が撮影されているので、そちらが成鳥になって渡来した可能性があるかもしれない。初列風切は白色部がかなり多く、暗色部も灰色味があり、P6の斑紋は白い軸によって二分されている。この画像からは全体の印象、初列風切も含め、ほとんどkumlieniといって差し支えないように見える。なお上嘴先端に見えるのは黒斑ではなく付着物。


初列風切の暗色部は概ね5枚で灰色味もあるが、外から6枚目(P5)にはよく見るとごく薄い灰色のラインが見える。またP7〜9の暗色部はやや太めで、P9のミラーは外弁に及んでいない。これでP9のミラーが外弁を広く覆っていれば―すなわちこの個体のようなjizzで先のE個体の3枚目の画像のような初列パターンなら、かなり確信を持ってkumlieniと言えるところだが・・・。


 G

アイスランドカモメ亜種kumlieni (×カナダカモメ?)第4回冬羽 Larus glaucoides kumlieni (Xthayeri?)  4th winter.
2009年に観察された第1回冬羽個体“3号”と同一ではないかと思われる。初列風切は灰色味があり(角度によってはこの画像より灰色がかって見える)、特にP6では灰色味が顕著で輪郭がぼやけ、かつ白い軸により二分されている。現在のところ初列風切はkumlieniとするには若干暗色部が多く、カナダカモメとの雑種/中間個体の可能性が否定できないように見える。しかしまだ第4回冬羽であることを考えると、もう少し白色部が増大する可能性もあるので来期の渡来を期待したいところ。




全体を一瞥すると通常のカナダカモメよりかなり淡い印象を受けたが、P10内弁にサブターミナルバンドがあること、P9(特に右翼)の暗色部がミラーによって分断されず続いていること、右翼P5に小さな暗色斑があることの3点は、成鳥であればkumlieniとするにはどちらかというとマイナス要因といえる。しかし第4回冬羽という年齢を考慮するとまだなんとも言えないところもあるので、来期以降の変化の有無に注目したい。


H

カナダカモメ×アイスランドカモメ(kumlieni)? Larus thayeri×L.glaucoides kumlieni?  第1回冬羽
発見当初現場では17日夕方に観察したkumlieniと同一かと思ったが、それにしては印象がカナダ的なので腑に落ちないまま帰宅。画像で雨覆など細部の模様を比較検討の結果別個体とわかった。こちらの方がいくらか顔が長く眼が小さい印象があり、初列風切の淡色羽縁も狭く見える。









I

カナダカモメ Larus thayeri  第1回冬羽
夕方見つけた典型的な暗色のカナダカモメ。kumlieniかどうかの心配が全く要らないわかりやすい個体。


J

個体通称名”デカムリン”
初認が2001年なのでこれで12冬目になる。この画像だけ見る限りは普通にアイスランドカモメのように見えるが、眼瞼の色などに疑問点があるため身元については明確な結論は出していない(詳しくはこちら)。ただいずれにしろ久しぶりに見てこの個体はやっぱりちょっと普通ではない印象は改めて受けた。