最新・カモメ情報
2011.11.7 神奈川県三浦市   M.Ujihara

晴天ベタ凪のせいもあってかカモメ類は2週間前と比べても増えていない印象。



カモメ Larus kamtchatschensis 幼羽→第1回冬羽
ウミネコの群中に1羽だけ入っていた。まだほとんど幼羽に近いが、肩羽上部が換羽しはじめている。




ウミネコ Larus crassirostris 幼羽(上)第1回冬羽(下)
同じ今年生まれで最も換羽の遅い個体(上)と最も早い個体(下)。上の個体がほぼ完全な幼羽なのに対し、下の個体は頭部、胸、腹、脇羽、上背、肩羽、中雨覆など広範囲に換羽が及んでいる。こうした差異は出生地の緯度もしくは孵化時期の違いによるものと推測される。


 

オオセグロカモメ Larus schistisagus 幼羽→第1回冬羽
上の個体の方が換羽・磨耗が早く、雨覆や三列風切の幼羽はかなり磨耗している。ただし通常国内で見られる大形カモメは前出のウミネコほどこの時期に広範囲には換羽しない。下の個体は肩羽が一部換羽している以外は幼羽に近い状態で磨耗も進んでいない。


 

セグロカモメ? Larus vegae?  成鳥夏羽→冬羽
セグロカモメ群中では頭が白く、初列風切も一見換羽済みのように見えるので、遠目からはしばしばモンゴルセグロカモメに似て見えた個体。



初列風切は伸長中や脱落している箇所がなく、長さが揃っているので一見換羽が完了しているように見える。


しかし詳しく見ると実はP10からP7までの4枚は先端の白斑が摩滅している。換羽が完了したばかりの新羽が早くも何らかの原因で磨耗した可能性も少し考えたが、しかしP6までは磨耗がなくてP7から外側との差があまりに明瞭なので、やはりそうではなくP6が伸びきったところで換羽の進行が中断している個体と考えるのが妥当か。頭部だけに斑があり首から胸が白いのも換羽の中断の結果?と考えることもできるかもしれない。初列風切の黒色部が6枚であることなども考えると、やはり換羽がイレギュラーなセグロカモメの可能性が高いか?



  

‘タイミルセグロカモメ’ Larus heuglini 'taimyrensis'  成鳥夏羽→冬羽


P10-P7が旧羽。


  

‘タイミルセグロカモメ’ Larus heuglini 'taimyrensis'   第2回冬羽
2週間前に観察した個体と同一。


この2週間で初列風切P10(A)と、次列風切(B)に残っていた幼羽が脱落し、短かった尾羽(T3−5)(C)と次列風切(D)が伸びている。中雨覆(E)にはグレーの羽がかなり出てきている。



モンゴルセグロカモメ?
 Larus (vegae/cachinnans) mongolicus? 幼羽 
標準的なセグロカモメより明らかに淡色傾向でコントラストが強く、モンゴルセグロカモメの可能性を考えた個体だが、特に換羽が早いといったこともなく、色彩、体型とも今ひとつ明快さには欠ける印象だった。セグロとモンゴルは両極はわかりやすい一方で毎年連続的に様々な個体が見られ、判断に迷う機会も多い。また、ちょっと考えると意外な感じもするが、‘タイミルセグロカモメ’とモンゴルセグロカモメの間でもどちらなのか紛らわしく感じられる例も見られ、この辺りもしばしば問題を複雑にしている。ただとはいえ、少なくとも日本ではセグロ、黄海(韓国西海岸など)ではモンゴルが大半を占めている状況自体は明白で、そういう意味ではこの二者の識別が全体としてどうしようもなく困難なわけでは全くないので、その辺りについては誤解しないように注意が必要なところだと思う。


尾羽の黒帯はそれなりに狭いが、基部にはある程度斑があってそれほどすっきりと白いタイプでもない。



参考:モンゴルセグロカモメ Larus (vegae/cachinnans) mongolicus  幼羽→第1回冬羽 2002.11.16 銚子市
同じく11月の幼羽に近い個体だが、肩羽は換羽しはじめている。これよりさらに換羽が進んだわかりやすい個体と同時に現れた。こちらは韓国や中国などのモンゴルセグロカモメの画像と比べてもよりぴたりと一致する印象を強く受けた。頸や頭もより斑が細くて白っぽく見え、大雨覆の斑紋も小さく白色部がより多い。全体の体型も長めで翼が後方に突き出た印象も強い。ただし逆に繁殖地の画像でもこれほど白っぽくない個体もよく見られる。