最新・カモメ情報 2009.1.19 銚子漁港 O&M Ujihara


カスピセグロカモメ Caspian Gull Larus cachinnans cachinnans


現場到着後僅か1分、前向きで羽繕い中で顔も初列風切も見えなかったが、双眼鏡で足の色と長さだけ見ても「これは!」と思う個体を発見。顔を上げたら案の定この個体だった。真っ白な頭に黒斑のあるストレートな長い嘴、セグロカモメよりはるかに白っぽく黄色味を帯びた肉色の細長い足、それらが醸し出すハシボソカモメを思わせる特異なプロポーションの印象、特徴的な初列風切のパターンなど、カスピセグロカモメ(※1)Larus cacninnans cachinnansの特徴を完璧に備えており非常にわかりやすい。確実なものとしては国内では2003年銚子で観察された成鳥(※2)に続いて2例目と思われる。








足は細長くて脛の裸出が大きい。色はセグロカモメより明らかに白っぽく、糞で白く汚れた背景に溶け込んでしまうような色に見えた。遠目には淡い肉色もしくはベージュ色のように見えるが、詳しく見ると跗蹠が黄色味を帯び、蹼は比較的ピンク味があった。モンゴルカモメの足もある程度似た傾向を持つが、それよりさらにセグロカモメとの差が激しい。なお現場では画像で見る印象より黄色味があるように感じた。


 


白色部の多い特徴的なP10裏面のパターンが見えている。また初列風切上面が櫛の歯のようなストライプ状のパターンになるのもカスピセグロカモメでよく見られる特徴。こうした初列風切のパターンは地域差や個体差があり、これほど顕著でない個体もよくいるが、この個体はカスピセグロカモメの中でも典型的でわかりやすいパターンの個体と言える。





9:30に一旦飛び去ったが、10:25頃には再び防波堤に戻っていた。


カスピセグロカモメと並ぶとセグロカモメの足のピンク色が随分強く感じられる。




カスピセグロカモメ(中央)とセグロカモメ2羽
足の細長さに注目!トウネンとヨーロッパトウネンの違いに通ずるものがある。



カスピセグロカモメ(左)とセグロカモメ2羽


カスピセグロカモメ(中央奥)とセグロカモメ5羽、ユリカモメ1羽(左端)
頭の白さと足の色及び細長さから、顔が見えなくてもかなり目立つ。







11:38に海の方へ飛んでいった。その後日没まで粘ったが現れなかった。



※1)cachinnansは過去には地中海方面のmichahellis(足は鮮やかな黄色)などと同種として扱われてきた経緯もあり、このサイトでも以前は「カスピキアシセグロカモメ」の和名を使ったが、この和名は少々長すぎることと、cachinnansの足の色はそれほどはっきりした黄色ではないことからここでは和名を「カスピセグロカモメ」とした。

※2)2003年のものも今回の個体同様の特徴をよく備えた典型的なカスピセグロカモメだが、初列風切の換羽が異常に遅かったことから発見当初は幾分慎重な表現もしていた。しかしこの換羽状態はセグロカモメやホイグリンカモメでも通常ありえないほど遅く、また進行が左右非対称であったことなどからもむしろ例外的な何らかの変調によるものと思われるので、この場合換羽状態と種の識別とは切り離して考えた方がよいと思われる。