ホイグリンカモメ Larus heuglini
2004.4.9 小田原市酒匂川 


体格は小柄で、周囲のセグロカモメより明らかに造りが華奢で軽い感じに見えた。ちなみに基亜種heugliniは以前はサイズが大きいように言われることも多かったが、最近の様々な情報を総合しても実際はそう大きいとは思えず、セグロ大からむしろ小さいくらいが普通ではないか?と思う(もちろん実際に♂の大きい個体ではかなり大きくがっしりした個体はいるようだが)。思うに、この「heugliniが大きい」という言い方は、どちらかというと実は元々はヨーロッパのニシセグロカモメ、特に分布が隣接するfuscus(-この仲間では最も小さく、まるでアジサシのような?細い形に見える傾向が強い)との比較から言われ始めたことだったのではないか?と思っている。


初列風切は長く、尾羽から大きく突出している。頭部は後頚にごく細い斑があるだけで、柔らかい斑は見られない。


上面の灰色は手前のオオセグロカモメ第3回冬羽に近い。オオセグロカモメ成鳥の濃い個体よりは淡く見えたが、薄めの個体やウミネコとは同じに見えた。



画面中央。セグロカモメに囲まれると上面の濃さがよく目立つ。


角度的に上面の灰色部は影に入っているが、手前のセグロカモメも同様に影に入っていることに注意。つまり、後ろの3個体とは角度が違うので単純に比較できないが、手前の個体とは比較が可能である。


脚は黄色いが、ウミネコのようないわゆる完全な真黄色ではないため、写真では現場で見るよりかなり黄色味が判り難い。また足指はよりピンクがかっていた。中東などで撮影されたheugliniではより明瞭な黄色に見える個体の割合が高いように思うが、一方で変化もかなり多く、ベージュや肉色に見えるものや、指がピンクがかっているものもしばしばいるようだ。ウミネコやカモメとは違って、少なくとも嘴の黄色よりは橙色味を含んだトーンである傾向は明らかにあると思う。

初列風切P10が伸びきっていなくて、非常に換羽が遅いということがわかる。初列風切の黒色部はP10−P5の6枚のみで、P9のミラーはあまり小さくはなく外弁内弁の両方にまたがっている。海外の画像を収集してみると、この点は中東で撮影されたheugliniの多くとはやや異なっていて、見た範囲ではこれとほぼ同じようなパターンは中東のものでは1例しか見当たらなかった。この点からは少なくとも中東に渡来してるものよりは東寄りの個体群ではないか?という推測ができそうだが、それがtaimyrensisの範囲に入るのか、heugliniの東寄りの個体になるのか、となると結局線の引き方の問題なのであまり深く考えても結論は出ないように思う。仮にtaimyrensisをホイグリンカモメの亜種として認めない説に従う場合には、この個体ですら確実にホイグリンカモメとは言いきれないことになる?のかもしれないが、2亜種を認める場合なら何ら問題なくホイグリンカモメになると思う。このあたりどう分けるのが正しいか?というと個人的には別段どうでもいいような気がするのだが、いずれにしろこの個体はよく見られる中間的な個体とは違って、背の濃さや体形、換羽の遅さなど、全体に特徴がよく揃っており、初列風切のパターン以外は中東のheugliniともほぼ変わらないように見える、ということからとりあえず「ホイグリン系個体」等ではなく「ホイグリンカモメ」とした。なおheugliniの上面の色は、中東のものでも写真(撮影機材?)によって真っ黒く写っているものからまるでセグロカモメvegaeと変わらない?ように見えるものまで随分とまちまちなので判りづらいが、実際はウミネコ/オオセグロカモメ程度ではないかと思う。


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