2004.1.7 木更津市金田 M.Ujihara  


ずっと銚子ばかりも何なので、久し振りに木更津を覗いてみた。とはいえカモメの数は銚子とは全く比べ物にならないほど少ないし、おまけにあてにしていたバス路線がいつのまにやら廃止されたらしく、あんまり便利な観察地とは言えなくなってしまっている。


オオセグロカモメ(L.schistisagus) オオセグロカモメは冬後半に入ると夏羽になり始める個体も段々目につき始めるが、この個体はまだ完全な冬羽。さらに3月でも完全に冬羽のままというものもいて、かなりばらつきがある。嘴に黒斑の出る頻度はセグロカモメより高くワシカモメより低いように思える。


‘ホイグリン系’個体 脚は弱い橙色がかった色。頭の斑は細くて頭に限定されている。初列風切の換羽は遅く、P10、9、8が伸展中。この他にも申し訳程度にホイグリン的特徴が入ったような個体がかなり見られ、銚子よりだいぶ頻度が高いように思えた。


セグロカモメ(vegae) この個体は初列風切の換羽は完了している


セグロカモメ(vegae) 頭の斑が多くて柔らかめの個体。この画像だけだとカナダカモメに似て見えないこともないと思うが、実際には別段迷うような個体ではなかった。初列風切はP9と10がまだ伸展中。


ウスセグロカモメ(アメリカセグロカモメ)? L.(a) smithsonianus? (右)
胸の斑や虹彩の色など全体にsmithsonianus的な特徴が見られ、背の色も薄めには違いないので、OKか?とも見えたが、光の具合や向きでかなり印象が変わり、vegaeと背の色の差がないように見えることも多かった。北米でsmithsonianusの群中にシロカモメが入っているような写真でも、意外にsmithsonianusがかなり濃く見える写真もあるので、あるいはこんなものでもOKか?とも思えるところがあるが、少なくとも先月26日に銚子で見た個体ほど判りやすくは見えなかった。ここではセグロカモメの個体数自体少ないので比較基準がなかなか掴み難いというところもある。




モンゴルカモメL c? mongolicus(右)
時期が進んでいる割には顔の斑が多めで質も幾分柔らかめに見える個体なのでその辺で幾分迷う感じはあったが、やはり総じてmongolicusの特徴によく合致する個体と思えたのでとりあえずmongolicusとしておく。mongolcusの頭の斑はかつてはよく「なし(?)」などと表現されていたが、近年の韓国の写真などを沢山参照すると、秋から少なくとも冬半ばくらいまでは斑がある程度は出るのがむしろ普通で、後頸と、次いで眼の周囲にも多少出る傾向があり、中にはかなり斑の多い個体も見られる。同様にヨーロッパのキアシセグロカモメ(michahellis)も冬でも頭が白いイメージが強いが、実際には秋期の写真を見ると眼の周囲を中心にかなり斑が出る傾向があるのがわかる。

mongolicusはこの個体のように静止時に胸が強く張り出し、頭の形含め全体に「大柄で角張った」ような形態が妙に目に付く個体がよくいる。michahellisにも同様の傾向があって'squarer head shape’とか'bulkier proportions'、'fuller chest'などと表現される。ただしもちろん、mongolicusの繁殖地の写真を見ても判るが、体格には当然個体差や雌雄差と思える差があってかなり丸く可愛らしく見える個体もいるし、逆にセグロカモメvegaeでも大柄な個体はある程度'bulkier'には違いないので、いずれにしてもあまりこういった個々の特徴を機械的に考えるのではなく、それぞれ一つの傾向、要素として柔軟に捉えた方がいいだろう。


頭の斑は少なく胸や上背もほぼ白いため、遠目にはかなり白い印象に見えた。嘴には黒斑がある。初列風切の換羽は完了している(左翼下面のP10のミラーが所定の位置にある)。P5の黒斑は太く、P4にも小斑があった(=mongolicusでより“頻度の高い”パターン)。これらいずれの点も全く「決め手」ではないが「傾向」として言えるというポイントで、vegaemongolicusの識別に関してはこれらを総合して判断する他ないが、しかしいずれも典型に近い個体ならば実際は別段それほど難しくは感じないことが多いのも事実。翼はmongolicusの方が平均して若干長め傾向があるようには感じられるが、この点も個体差とオーバーラップが非常に大きい。なおこの個体はP6が短くて白斑の間隔が不規則に見えるが、これは伸展不良?のようなもののようで、種・亜種を問わず時々見られる。



シロカモメ L.hyperboreus
あまり大きいほうではなく、barrovianusの範囲にも入る大きさに見えた。


おまけのウミアイサ
ちゃんと見るのは結構久し振りという気がするが、なかなか綺麗だった。見ている間にかなりでかい魚を3尾立て続けに飲み込んだが、よくあんなドカ食いができるものだとちょっと感心した。