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クロワカモメ Larus delawarensis
2002. 2. 20 千葉県銚子市

  4時半ごろウミネコとカモメの50羽ほどの群れに混じっているのを見つけた。通称Thayer'sポイント(「礁」前)から左手二・三百メ−トルの半逆光状態の群の中にいたが、望遠鏡の視野の中に顔がちらりと現れただけで即座にクロワカモメに違いないと直感した。直後に船が近づいて群れが飛び立ち、20羽ほどに減ってしまったが幸いクロワカモメは飛び去らず、その後20分ほど観察できた。 1月19日以来波崎を中心に観察されているものと特に違った点は見られず、同一個体に間違いないと思われる。日中はカモメ (Common Gull) は非常に少なく、夕方になって川の中で水浴びをした個体が少しづつ防波堤に上がってきていた。波崎で発見されて以来何度も銚子には足を運んでいるが、カモメの数が少なく、クロワカモメもこれまでは一度も見かけなかった。この日も午前中は波崎の砂浜で観察されており、やはり中型カモメ類の多い波崎側を中心に行動しているようだ。

個体識別について


左から,クロワカモメ,カモメ,ウミネコ。この3羽の中では最も足が長く、がっしりしている。また右のカモメのミラーは明らかに大きく、カモメではこのようなものが一般的である。アメリカのクロワカモメではミラーがP10の一個のみで、かつ非常に小さいものがしばしば見られ、そのようなもののほうがさらに判りやすいとも言えるが、これまで見てきたアメリカで撮影された写真ではミラーがP10とP9の2個あるものの方がむしろ多いように思われる。またこのクロワカモメよりミラーがやや大きいものも決して稀ではない。ニューヨークでも空港に降りた途端に沢山のクロワカモメが頭上を飛び回っていたが、思っていたよりミラーが大きいものが多く,飛翔中は意外にカモメによく似た鳥との印象を受けた。この個体のミラーはクロワカモメとして全く標準的である。
カモメに比べて全体に造りががっちりしているため、このように比較的頭の羽毛を寝かせた状態ではやや大型カモメを連想させるような印象に見えることが多い。ただしこの個体は水浴び後に羽繕い、休息のために防波堤にやってくるのを見ることが多いので、あまりこのような状態を長く見る機会は多くないようだ。
この個体の上面の灰色は、条件によってはカモメと同程度に見えることがあり、クロワカモメの中では比較的濃い個体のような印象を与える。最初に波崎でこの個体を見た時も多少気にかかったのはこの一点だけだったが、アメリカで撮影されたものでもかなり濃く見えるものがしばしばあり、中にはこの個体より濃いように見え、一見ウミネコのように濃く写っているものもいくつか見られることから、この点も特に問題があるようには思われない。この写真では左のカモメより明らかに淡く見え、クロワカモメとして全く普通の濃さに見える。また波崎で撮影されたものの中にはユリカモメと並んでほとんど同程度に見える写真が複数ある。ヨーロッパでユリカモメと並んで撮影されたものではやや濃く見えたり、カモメ (L.canus canus) と並んでいても意外とそれほど淡くなく、同程度に見えるものもよくある。このような点も考えると、この個体もクロワカモメの中でも実は特に濃い個体ではないのかもしれない。
一般に図鑑等の数値からは、クロワカモメはカモメより大きく、ウミネコよりやや小さいというイメージがある。しかし実際にはこの3種の大きさは、個体差や雌雄差、カモメの亜種間の大きさの差があるため、日本では平均してほぼ同大と言える。この日の観察では、このクロワカモメは同時に視界に入った5,6羽のウミネコより大きく見え、同時に見られた数羽のカモメより明らかに大きかった。特にウミネコより脚が太くて長く見えることが多かったのが印象的だった。その後カモメの非常に大きい個体が数羽飛来し、それらの個体とは同大か、わずかに小さく見えることもあった。これは日本で越冬するカモメ(kamtschatschensis)が平均して大きめで、中にはしばしば非常に大きい個体が見られるためにごく普通に起こり得ることで、これをもってこの個体がクロワカモメとして特に小さい個体であるということにはならず、むしろ標準サイズではないかとの印象を受けた。図鑑等のカモメの全長はより小さいヨーロッパのcanus 等の数値を含んだものになっていることが多いと考えられ、ヨーロッパでの数値がそのまま引用されているケースもあるのではないかと考えられるので注意が必要だ。

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