歌声




「………」
 その表情はなんと表現すれば言いのだろう。いや、表現の言葉などあっただろうか?
 失望と落胆と……まあ、マイナスの感情が、その表情の原因であった事は間違いない。
「………」

「………うね、あほかと。ばかかと。おまえら、………」
 モニターから聞こてくる声に殺意すら覚えたのはこれがはじめてである。
 憤りと言う感情は人格データ化の際に欠落してしまったと思っていたが、なかなかどうして。
「………はやらねーんだよ、ボケが………」
 コンソールを操作して、素体のひとつに仮転送していた人格データを消去する。
 もう32個目だぞデータは……一体いつになったらまともなデータが出てくると言うのだ……
 必死で気持ちを落ちつけて、次のデータ「翡翠」をメイドタイプ体に転送する。

「あなたは愚鈍かと思われます」

 開口一番のこの台詞には、さすがの朝鮮製も意気消沈せざるを得なかった………
「………」
 あきらかにデータ実験をはじめたころとは異質の感情を秘めた表情を、朝鮮製は必死で押し殺している。
「……あと、5つ、か……!」
 その言葉には、あと私は5回も苛立ちを押さえねばならないのか、という気持ちがあった。

 そして彼女は、度重なるデータ転送によるデータの劣化及び素体への影響も省みず、コンソールを操作し始めた……



【朝鮮製 怒りゲージ最高潮】
【この連続データ実験により、人格データ及びメイドロボ素体に何らかの影響があるものと見られる】




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