序曲


「……どうや、動かせそうか」
智子の言葉に、坂下は何度目かのため息と共に、首を振った。
「駄目ね。どの銃も踏み潰されて、下手に撃ったら暴発するのは間違いないわね」
「そう……いいかと思ったんやが」
こちらも嘆息しながら、智子は座り込んだ。
御堂と千鶴と別れてから、二人はホテルに向かって歩き続けていた。
その途中で、武器倉庫らしきものを見かけたのだが、例のモンスターの大暴走によって、大半の武器が
使い物にならなくなっていた。
それでもいくつか使えるのがないか、と探していたのだが、それも無駄骨に終わったようだ。
むしろ、自動販売機の残骸から、いくつか無傷のジュースを取り出せただけ、ラッキーだと言える。
「……あ、見てみぃ、これなんやろ」
ふと、瓦礫の中から何かを見つけ出し、智子が掘り出した。
他の所を探っていた坂下も、智子の所にやって来て、一緒に掘り始める。
それは、壊れた看板だった。
『島のはずれの高原に建つ屋敷。周りを広大な花畑に囲まれ妖精が飛び交うお勧めのスポット。
屋敷ではパペットのおじさんが応接間で美味しい紅茶をご馳走してくれます。
島にお越しの際はぜひお立ちより下さい。⇒この先500メートル』
坂下と智子は、思わず顔を見合わせ、しばし沈黙する。
その時、しとしと、と雨粒が、二人の頭上から降り注いできた。
「雨やな……」
「…選択肢は無いみたいね」
ため息ひとつつき、二人は館へ向かい、駆け出していた。
そこに待つ、恐怖を知る由も無く。



【智子、坂下、コミパパーティのいる屋敷へ】




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