館、降りしきる雨の中で
雨が降っていた、暗く陰鬱な雨が。
時は夜、楓たちはいまだ”あの館”の中にいた。
嫌な思い出だけが残るこの場所に、なんで彼女達がいるのか。
話は数時間前に遡る。
「お姉ちゃんを、埋めなきゃ」
その言葉が発端だった、穴を掘る道具を探す。
館の花壇に、小道具のつもりなのだろうか、錆びたスコップが置いてあるのを見つけて、穴掘りは始まった。
錆びたスコップくらいしか無い状態で、由綺を埋められるだけの穴を掘るのは、少女達にとって結構な労力を必要とした。
だが少女達、特にマナは頬に涙のあとをはりつかせたまま、何も言わず無心に堀り続けていた。
そして数時間後、由綺の死体をやっと埋め終えた頃、夕焼け空を雨雲が覆い、突然大雨が降り出したのだ。
ずぶ濡れになった少女達は仕方なく館の中に戻り、館で見つけた真新しい毛布を被って大広間で顔を見合わせるようにして座り込んでいた。
階段の手すりには、濡れた服と下着がかかっている。
アレだけの事があったあとだ。できれば、マナは一人にしてやりたいと思う楓だったが、ここは危険な島。
バラバラになってはまずいと思ったのだ。
部屋の中には火のない暖炉、だが、不思議と暖かいのは恐らく暖房が効いているのだろう。
なにせ、科学の粋を集めて作られた人工島だから。
では、何故に大広間に集まっているかといえば
窓のある部屋は全てが開けっ放しで寒く、とてもじゃ無いがそこにはいられなかったからである。
大広間には静かなメロディ、マナの持参したハンディプレイヤーから流れていた。
下着の上に毛布をかぶったの少女達が体育座りしている光景はある意味不気味だったかもしれない。
彼女らの側には大きなカバンが一つ、そして、小さなカバンが二つ。
大きなカバンはマナの物だった、何故か。
ここは、一日、二日では回りきれないような巨大テーマパークである。
それだけに、招待客にはそれなりの日数の滞在が許されていた。
マナは既に数日分の着替えや荷物をホテルに送っておいたのだが、出発少し前になって忘れ物に気づいたのだ。
つまり、今彼女たちが身につけている下着である。
だが、その準備を慌てて行った彼女は遅刻気味になってしまった。
しょうがないので、ジープに預けておけば良いという事で、カバンを持ったままジープに乗り込み、それが今こうして役に立っていた。
もっとも、三人の中では瑠璃子だけが少々ムネのサイズが大きかった為、少し窮屈そうな顔をしているが。
そして今、もういないアイドル歌手の歌声が三人の少女達を優しく包み込む。
空から落ちてくる悲しい涙、そのすすり泣く声を覆い隠すように。
だが、夜はまだ始まったばかり、夜明けは、まだ・・・遠い。
【月島瑠璃子、柏木楓、観月マナ、人形のいた館の大広間で待機】
【所持品:音楽プレーヤースピーカー、小さなカバン二つと大きなカバン一つ】
【大きなカバンにはマナの下着数日分、など】
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