(無題)
「往人さん! これっ! これっ!」
霧島医院前での仕事から帰ると、観鈴が紙切れを降りまわしながらこちらにやってきた。
「にはは、恐竜さんだよ! がお〜っ!」
「……恐竜?」
観鈴から紙を受け取ると、とりあえず彼女の頭を一発殴る。
「うぅっ……なんで殴るかなぁ」
「お前があの口癖を言うからだ」
「言ってないよ。あれは恐竜さんの鳴き声。 がお〜って」
もう一度拳を落とす。
隣で頭を抱えている少女の恨めしそうな視線を無視しながら、渡された紙に目を落としてみる。
……どうやら近々島1つをまるまる改造した一大テーマパークが開園するらしい。
科学の力で恐竜や空想上のモンスターを遺伝子操作で創り出し、それを見物するという企画のようだ。
「言っておくが俺は金など持ってないぞ。頼むのなら別の奴にしろ」
「にはは」
観鈴が今度は薄い青紫色のインクで文字の印刷された、お札ほどの小さな紙切れを差し出してきた。
よく見ると『特別先行ご招待券』と書かれている。
「な、なんだこれは……」
「厳選なる抽選で選ばれたからだって。チラシと一緒に送られてきた。三人分あるからみんなで行けるね」
「俺は行かないぞ」
きっぱりと断る。
厳選な抽選だとか先行入場だとか、まるで怪しい勧誘みたいではないか。
それに、こんな物を見ている暇があったら少しでも旅の資金を稼ぎたい。
「島に新設された超豪華ホテルに三泊四日、ご飯は世界の超一流シェフによる超バイキング。それから……」
「行かせて下さい。観鈴さん」
「にはは、素直でよろしい」
【観鈴・往人 参加決定】
|
|||
|
|