恋に狂った墜天使
気分はどう? そんな声が聞こえて彼女、ルミラ・ディ・デュラルは顔を上げた。
何か言い返してやろうと口を開くが、舌が口蓋に貼りついて言葉を紡げない。
「ふふ、さすがの魔界貴族もこれだけ魔力を吸い取られれば口も聞けなくなる、か、いいザマね」
彼女を見下ろし、酷薄な口調で揶揄する美女、かつては友ですら己の目的の為に利用した天使、ユンナ。
「アレ・・・とメイ・・・は」
途切れ途切れ、苦しいと息の中からかろうじて言葉を搾り出す。
それが、今のルミラの精一杯だった。
「安心して、二人とも無事だから」
その言葉を聞いてわき起こる安堵、だが、安心は出来ない、囚われの身であることには代わりがないから。
「メイフィアの魔道技術は、この島のモンスターを作るためにとても役立ってくれたわ」
「……」
「あとは、貴方の魔力を使って天界へのゲートを開き、あの男に作らせたモンスターを雪崩れ込ませるだけよ」
「!」
「人間界の遺伝子学と、魂を絵画に乗り移らせる事が出来るほどの魔術理論を融合させて生み出した怪物たちをね」
そして、天界が混乱している隙に、彼女の恋人―ウィル―を助け出すのだ、そう言って笑みを浮かべるユンナ。
「貴方・・・狂ってる」
そんなルミラの呟きも、ユンナは意に介さなかった。
「本当はまだまだ時間がかかりそうだったんだけど、あの男の始めたゲームのお陰でずいぶん早く目的を達成出来そうよ」
ほら見て、といって彼女が取り出したのは、色とりどりの輝き、この島で死んだ者の魂であった。
「特にこれは凄いわよ、死人を生き返らせる事が出来るほどの魔法使いの魂らしいわ」
薄暗い部屋の中、狂気に魅入られたユンナの瞳が魂の炎を照り返して妖しく輝く。
己を縛る戒め、魔力を吸い取る装置、これさえ何とかできればこんな女に好き勝手言わせてはおかないものを。
だが、今のルミラに出来る事は何も無かった。
【ルミラ、ユンナとともに島のどこかの部屋の中、魔力を吸い取り溜め込む装置に繋がれていて身動きが取れない】
【ユンナ、野望を語るがモンスターをどうやって操るかなど具体的な内容は不明】
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