続く暗示



「か、和樹……あのパ」
目を覚ました瑞希は、気絶直前に見た光景に青ざめながらたずねる。
「あれなら何とか倒したぞ。それよりここから脱出する方法を何とか考えないとな……」
既に階下からがっしゃんがっしゃん音が聞こえ始めている。あまり時間は無いかもしれない。
時折、鎧の音の中にきゃあ〜という声が混じった気がするが、多分気のせいだと信じたい。
「あんまり屋敷は高く作ってへんみたいやからな。下は花畑。ひとつ飛び降りるのはどや?」
「馬鹿いえ。下の妖精の総攻撃を食らったらどうする気だ。それにほれ」
和樹は窓の外……屋敷の入り口のほうをみながら言った。
「なにあれ……気持ち悪い…自分の首を手に持ってるよ……」
みすぼらしい、としか言いようの無い身なりで、自分の首を持った怪物が屋敷の扉の前にたたずんでいた。
「デュラハン……ちうやつか。あれも攻撃してくるんかいな。」
「わからんな……だがこれじゃ飛び降りるわけにも行かん」
行き詰まってしまった。階下の鎧たちはこっちを総攻撃してくるだろうし(三倍込み)、
得体の知れないモンスターや未だ見ぬ妖精が花畑に潜んでいるだろう。
そのうえ、和樹たちは何故かどうしようもない眠気に襲われていたのだ。

「寝るな瑞希……寝たら死ぬぞ……いやむしろ寝たら襲う……Zzz」
「こら和樹自分だけずるいで……ウチも……あかん……」
「むにゃ……ぱいあーるじじょうってなに……宇宙語?むにゃ……」

程無くしてすっかり眠り込んでしまった自分達の傍らに、マブと呼ばれる妖精の女王が立っていたことを、彼らは知らない。




【マブの魔力により和樹一行睡眠。】

【マブ(Mub) アイルランドに伝わる妖精の女王。人間を夢という試練に引きずり込む。夢の内容はひとそれぞれ。】
【ドゥラハン(The Dullahan) 同上。まもなく死人が出る家の扉の前に立つ。死者の魂の案内人という説もある。】




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