スコール



――冷たい……。
目を覚ますと空はいつのまにか黒い雲に覆われていた。
そしてその空から雫が絶え間なく頬に落ちる……。

――雨が降っているのか――。

私はそっと身を起こす。
頭がずきずきと痛む上に、目の前が歪んで見える。
そしてぼんやりしている気分だった。

やがて、視線が定まった所で周囲を見回す。
頭上には雨雲。背後には急な岩場の斜面。
そしてその斜面のに沿うようにして続いている白い壁。
そう、先程目の前に立ちふさがったあの壁と同じようだ。
そして、その壁が途切れたあたりに、黒い煙がもくもくと立ち昇っていた。

どうやら、先程ジープから脱出する際に勢いあまって崖の下に転がり落ちたらしい。
私はてっきり叢に飛び込んだつもりだったのだが。
その部分がまさか崖になっていたとは……それを見落としてしまうなんて軍人失格だな。

今いる所は、その壁より遥か下にある谷川のほとりだった。
 せせらぎの音だけが周囲に木霊している。

 もう一度周囲を見回す……しかし……。

 坂神の姿はどこにもなかった。
 ついで栞とかいう少女の姿もない。
 先程の脱出でどうやら別々になってしまったのだろう。

「坂神ぃーーーー!!」

 私は一応、奴の名前を叫んでみるも、返ってきたのは谷底に木霊する私の怒鳴り声だけだった。

 おっと、そんなことより――

 私のひざの上の少女。
 そうやら先程、崖から落ちた際に……私は精一杯かばったつもりなのだが。
 恐る恐る、彼女の口元に耳を当ててみる。

「……スー、スー……」
 微かに息をしている。そうやら気絶しているだけだろう。
 見た限り、少女はどこも打ち付けていないように見える。
 しかし、水挑体の私とは違い、少女の場合このまま雨に打たせていては、何らかの支障が
出ることは目に見えていた。すぐに来ていた雨合羽を脱ぎ、少女に着せる。
 これなら当面の間は、雨にぬれずに済むだろう。

 そうこうしているうちにも雨は勢いを増していくといった様子だった。
 いままでしとしとと降っていた雨がいつのまにか顔に容赦なく殴りつけてくる。

 とにかく今やるべきことは二つ。
 一つはこの激しい雨をしのぐ場所を見つける事。
 そして、一刻も早く坂神らと合流する事。

 そしてもう一つは……。

 少女を背負い、ただ前を向いて歩きながらも感じる……背後からの気配。
 それが何かを突き止め、対処することだった。

【岩切、初音をかばいながらも脱出した際にそのまま崖から転がり落ちて、頭を強く打った模様。
 初音は気絶している】
【現在いる場所はジープが爆破した場所から十数メートルしたの谷底。なお、岩切の背後に何か
の気配が付きまとっている。それが何かは次の書き手にお任せ】



【岩切、初音をかばいながらも脱出した際にそのまま崖から転がり落ちて、頭を強く打った模様。
 初音は気絶している】
【現在いる場所はジープが爆破した場所から十数メートルしたの谷底。なお、岩切の背後に何か
の気配が付きまとっている。それが何かは次の書き手にお任せ】




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