(無題)
「私、千鶴お姉ちゃん達と、無事に再会できるかな」
緩やかなウェーブを描く髪を後ろで束ねた少女がそんな疑問を漏らす。
「大丈夫です、初音さん」
言葉すくなに返ってきた応え、だが、彼女の周囲に人はいない。
彼女は運悪くジープから投げ出され1人になってしまっていたから。
ではだれが? まさか、先ほどから彼女の足元を歩く猫だろうか?
「そうだニャ、フランソワーズの言うとおりニャ」
猫が口を開いた、信じられないことだが世の中には色々な事がある、時には猫が喋ることもあるだろう。
しかし先ほどとは口調と声色が違う、コレはいったい?
その疑問に応えるかのように再びの声。
それは彼女の胸元辺り、人形から発せられたものであった。
「ええ、私たちであなたを守りますから」
「ありがとう、二人とも・・・でもいいの?」
「なんニャ」
「二人は、悪い天使さんにつかまった仲間たちを助けに来たんだよね、なのに」
自分を守ろうとして行動に移れない二人を申し訳なさそうに見る。
「あなたには恩があります・・・」
「そうニャ、ここまでこっそり連れてきてくれた恩は返さなきゃニャ」
「それにルミラ様やアレイ、メイフィアさんのことは」
「うん、空から飛んでくるはずのイビルと、コリンとか言う天使がいるから慌てなくても大丈夫ニャ」
「それなら、いいんだけ・・・」
温かい二人の言葉に初音が応えようとした瞬間だった。
ガサリ、と茂みが音を立てた。
「誰ニャ!」
激しい猫の詰問、と同時に猫は人の姿へと変じた。
まさか、化け猫ってヤツか? 全く世の中ってやつはわからない。
胸に抱かれていた人形も何時の間にか人間サイズだし。
とにかく、見つかってしまってはしょうがない、大人しく出て行くこととしようか。
前の話を読む リストに戻る 次の話を読む
|
|||
|
|