産まれたての世界



別に自殺願望があるわけではなかった。ただ死ぬのが怖くないだけだった。
たとえこのまま生き続けても全てが終った世界に旅立つ事が決められていた。
たとえ旅立たなくてもここはほとんど変化の無い終わりかけた世界だった。
生きていても死のうとも世界が終わる事に変わりは無い、僕は冷めた感情で現状を受け入れていた。
あの人に出会うまでは……。
あの人は変化の乏しい現実に満足できなかった。新たな刺激的な世界を貪欲に求めつづけていた。
あの人は僕のように道が無い事を受け入れるのではなく自分で新たな道を切り開いた。
たとえ……それが他の人には悪夢のような道であろうとも彼は躊躇しなかった。
そんなあの人に惹かれていたのは事実だ、知り合いを巻き込む気は無かったが。

「……えっと……あなた……誰?それに……ここは?何でこんな所に私居るんですか?」
「ああ、気がついたんだ。」
僕は彼女のタオルを換えながら笑って答えた。
「僕の名前は氷上シュン、ここはチョットはずれた休憩所、君は道路の真ん中で気絶していたから僕が運んできたんだ。」
「気絶……そういえばジープから振り落とされて……あぅ!!」
身を起こそうとした彼女は顔を歪めすぐにうずくまった。
「足に怪我してるみたいだから動かない方がいい、……今飲み物持ってくるから少し待っててね。」
足早に台所の冷蔵庫のところまで向った。
「みしおちゃん、お茶とコーラどっち飲む?」
「あ、お茶をお願いします。……あの、なんで私の名前を?」
「悪いとは思ったけど生徒手帳を見させてもらったんだ、はい、電気が止まってるせいで冷えてないけどどうぞ。」
「ありがとうございます。……あの他の人は?」
「残念ながらジープから離れているうちに事件が起こってね、僕も独りなんだ。」
本当は最初から独りだったんだけどね。そう心の中で呟いた。
「何か用があったら呼んでね、僕は隣りの部屋にいるから。」
「あの……ありがと。」
僕はただ笑って部屋をでた。



僕は純粋にこの島を楽しんでいる。この島は自分が生きている事を実感させてくれるから。
だからって知り合いを巻き込むつもりはなかった、だからこそ独りになる事を選んだ。
『私の自慢の島を存分に楽しんできてくれ。』
旅の相棒は別れの言葉と共に先生がくれたサバイバルナイフだけで充分だった。
でもやっぱり予期しない事は起こるものだ。
怪我してる女の子を見捨てて独り旅を続けれるほど僕は薄情じゃない。
「最初から予期しない事が起きてますが……存分に楽しませてもらいます、先生……。」
独り旅はもう少しオアズケみたいだけど。


僕にとって生と死は等価値だった。でもひさしぶりにもう少し生きてみたいと思った。
だってこの世界はまだ始まったばかりだから。



【氷上シュン・天野美汐 休憩所に待機 美汐のジープに乗っていた人は書き手に任せます。】
【シュン・サバイバルナイフ装備  美汐・足の怪我は重い打撲、最悪骨折です】
【氷上は超先生シンパの穏健派  知人ですがスタッフではありません。】




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