独白に限りなく近い対話



セバスチャンは、実際迷っている。
ここでここにいるべきなのか、それとも一人でも彼らを救いに行くべきなのか。
「ふむ。」
ふいに、セバスチャンの耳にそんな言葉が入る。そんなばかな、ここには誰も入ってこられないはずでは……!?
「君が、私を殺した人物か」
声は、モニタースピーカーからだった。
「……メイドロボ?」
「外見はね。しかし中身は今もそこで横たわり首だけが椅子の上においてある人物さ。」
セバスチャンの目が、かっと見開かれた。
「な……馬鹿な!人格のバックアップをとっておいたと!?信じられん……何のデータの劣化も無く……」
「いや、そう言うわけではないよ。私の人格にも少し修復できなかったところがあるようだ。しかしそれは何の問題でもない。」
朝鮮製は続けた。
「まあ私のことは朝鮮製とでも呼んでくれたまえ。しかし君もなかなかの人物だね。」
「……どういうことだ?」
「だってそうじゃないか。彼ら103人の命を救うためにその部屋に君はいるんだろ?しかし実際には
「たかだかコンピュータの操作方法がわからない」程度の理由で君はそこに居座ることを決めている。
普通の人間なら、システムを多少暴走させてでも何とかセキュリティプログラムを修復しようと考えるのではないかね?
私の言葉に嘘は無い。防犯プログラムはすべて解除してあるわけだからこれ以上事態が悪化することなど考えられないだろう?
もし君が多少なりともシステムを復旧させることができたのなら、そこにいる私のオリジナルは存在していることになり
私が目覚めることは無かったし、その間に君達はここの脱出策を練る事だってできたはずなのだからね。」

………」
「いまさら後悔してどうするんだい。
その部屋の居心地も悪くは無いよ。そことここは神の視点で島の物事を観察できる。
そう、この島で起こり得るあらゆる事象をコントロールできる全知全能の神の視点、神の玉座だ。」
「……貴様の目的は何だ」
「それはあとで話すよ。君はそこにあるセキュリティボタンの効果を確かめようとすることすらしなかった。
それは防犯プログラムに以上が生じた場合、いったんすべてのシステムを尾としてイチから起動しなおすためのボタンだったのだよ。
私の目覚めまでにそのボタンを押しておけば良かったものを。
でも、もうだめだ。私のいるこの総括管理室でそのボタンの効果を無効化した。」
「………く」
「私の目的ははじめから言っているだろう。リアルリアリティーの追求だよ。
リアルな怪物に襲われ、人は掛け値の無いリアルな抵抗を繰り返す。リアルな恐怖、リアルな痛み、そして死。
抗いようの無い現実がここにある。彼らはこの島で一生が凝縮された時間を生きる!」
「……狂って……おるな。」
「自覚はしているよ。だが私の目的は殺戮ではない。このことだけはいっておくよ。
この島からの脱出防止策には一切手を触れていないから極端な話、筏を作って脱出しても良いわけだ。
ここで大事なのは結果ではなく、過程だ。彼らがそれまでにどんな苦労をし、死と向き合い、傷を負ったか。
少し陳腐な話になってしまうけどね。第一ここはただの人工島だ。まあ通信だけには少し手を加えておいたが。」

「………なるほど、つまり……」
「そう。私の居場所を突き止め、ここを制圧することができればセキュリティを復活できるかもしれない。
もっとも、君達にはここが何処なのかもわからないだろうが。」
「……見つけるんじゃよ。」
「できないね。」
「モグラは地下に潜りたがるのじゃよ」
言って、セバスチャンは部屋を出ていった。

「さて……島の諸君はどのような状況かな?」



【セバスチャン、行動開始 いまのところ朝鮮製の存在を知るただ一人の存在】



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