高槻@サバイバル開始前
「凄いっ、こいつは凄いっ!」
見渡す限りの大自然の中に豪華なホテル。
この光景を実際に目にすれば、高槻でなくとも思わず声をあげてしまうだろう。
その証拠に、「温泉パンダー!」だとか「死ぬわっ!」といった歓声がそこかしこから聞こえてくる。
「よし、まずはバックの中からおニューのデジカメを……」
そう呟くと旅行用の大き目のバックのファスナーを勢い良く開ける。
しかし、最後の方で何かに突っかかってファスナーの動きが止まってしまった。
「ん、服でも突っかかったのか?」
高槻はバックの中を覗きこむ。
「あいたたたっ」
バックから声がする。
「そ、その声はっ!」
バックの中身が何なのか、すぐに判断することができた。
高槻の顔色はみるみる変わり、乱暴にバックのファスナーをこじ開ける。
「痛い、痛いって!」
バックの悲鳴を無視し、ファスナーを完全に開いた。
「ぐ、お前はぁっ……」
忘れるわけがなかった。
「はぁ、バックの中に隠れてたのは悪かったけど、今のはひどいよ」
こいつの顔を。
「と…とんでもないことをしているぞ、おまえっ! わかっているのかっ! 止まれ、そこでッ!!」
「止まればいいのか、ここで」
「そうっ、そうだ……いや、違うっ! 力を使うなァッッッツ!!」
ズビュシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッッッ!!!
「遅いよ、言うのが」
地下牢で俺を死の直前まで追いやったこいつの顔を。
「なぜだっ! なぜお前が俺の荷物になっているっ!」
「だって面白そうだったんだもの。だけど、残念ながら僕は招待されなかった。だから密航したってわけ」
さも当然かのように少年は言う。
明るい笑顔が非常に腹立たしい。
「密航っ!? お前は俺の荷物として密航したのか! なら、本物の俺の荷物はどこに行ったぁっ!!」
「ははは、それなら全部君の家に置いてきちゃったよ」
苦笑いを浮かべながら少年は答える。
「なんということだぁっ! 俺はお前をここまで運んでくるために無様に汗を垂れ流していたというわけかぁっ!!」
「そういう事になるね」
「ぐああっ! なんという事だっ! 俺は三泊もの間同じ服を来て過ごし、写真の一枚も撮る事ができないのかぁっ!!」
「使い捨てカメラで良ければあそこで売ってると思うけど」
「やかましいっ!!」
売店を指差す少年の頭に、高槻の拳が何度も落ちた。
「あぁっ! 痛いって! 謝ってるのに殴るなんてひどいよ!」
「いつ謝ったあああああァァァァァァァァッ!!」
怒りに満ちた高槻の雄叫びは、ホテル中に響いたのだった。
【少年 高槻の荷物として島に上陸】
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