ある売店にて



放送直後。
矢島少年は、なにごともなく、ただ、ぼーっとしていたのみである。

学校の長期休暇のあいだの暇つぶしにと、バイトをはじめてみたらこの始末か。
おおなんかズシンズシン言ってるなあ。おめでてーな、クソ。

どっかのパズルゲームで見た足のやたら大きいモンスターが売店の前を通っていった。
知るか。俺の持ち場は、ここだ。

凄まじい顔をした猿(らしき生物)がショーケースのメントスを丸ごと奪っていきやがった。
ばかやろう。金払え、金。

ああ、暇だな。管理センターとの非常電話も通じねーし。
何の為の非常電話だよ。ただの飾りですかそうですか。

「おう兄ちゃん。この売店やっとるんかー」
髪の長いおばさん(というには少し若い)に、うたたねは中断された。
「これが喉乾いてしんどそうやからな。何か適当に飲み物売ってくれへんか?500のペットでええねん。」
「お母さん、これ呼ばわりはないよ……」
「これ」らしい女の子がおばさんの傍らに立っていた。よほどその呼ばれ方に傷ついたのか、泣き出しそうな顔をしている。
「そうそう、まちがっても「げるるん」とか「どろり濃厚なんちゃら」なんてのは出すんやないでー。
出したら恐い目にあってもらうでー。」
……どうやら、俺の暇は少しは潰れそうだった。



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