価値観
「逃げれるか?」
長瀬主任が聞く。
「このままでは確実に追いつかれます」
とセリオ。
長瀬主任たちを乗せたジープは後ろからのサーベルタイガーの追撃を受けていた。
「まずいな…、余計な戦闘は避けたいのだが」
と長瀬主任、だが台詞の内容の割に口調は落ち着いている。
「できれば、被害を少なくしたいのだがね」
「は?」
「上手く生け捕りにすればあとで何かに使えるかもしれんだろう?例えば研究とかね」
柳川のすごく単純な疑問にしれっとした態度で回答を返す主任。
「長瀬主任はロボット工学ではないのですか?」
「いや、私が研究する訳ではないよ他人が研究するための生け捕りだよ」
「…はぁ…」
柳川は曖昧な返事を返した。
(この人から言わせれば。全てが研究の対象か…。これは下手に俺の能力を見せる訳にもいかんな…)
「しかし、このままだと戦闘回避はできんぞ」
と、長瀬刑事と武器のニューナンブを構えて後ろのサーベルタイガーを見据える。
「……」
長瀬主任は地図を見て、現在の位置を確認する。
「セリオ、次は右に曲がってくれ」
「わかりました」
セリオはその指示に従い最低限の減速でカーブを曲がった、それにサーベルタイガーも追従する。
「全然、差は広がりませんね」
柳川はサイドミラーを見てそうこぼした。
「前方に人がいます、どうしますか?」
「止めてくれ」
「しかし追いつかれます」
「いいから。見捨てるわけにもいかんだろ」
と、長瀬主任。
そして車はその人間のすぐ横で急停車したと同時に懐からニューナンブを取り出した柳川が飛び降りた。
「乗ってください!」
と柳川。
その間にも長瀬刑事は発砲やむなしと判断し、銃を発射しサーベルタイガーに牽制をした。
その男、橘敬介もいきなりの車の登場に驚いたが後ろの現状を察知し慌てて柳川のいた座席に飛び乗った。
一方、サーベルタイガーは長瀬刑事の銃の危険度を察知して走るのをやめジープから10Mほど離れた場所で長瀬刑事を睨みつけた。
「ひゅぅ、怖いね」
長瀬刑事が悪態をつく。
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