〜第2章(本編:第2部より)〜

(注意:一部ゲーム本編の成り行きと異なっている点がありますが、ご了承下さい。ちな
みに、この時の同伴したサブキャラはコングマンとチェルシー)

グレバムが敗れてからしばらく、僕はリーネで平和な日々を過ごしていた。
ある日フィリアがディムロスを持って村を訪ねて来た時、何かあったのかと心配になり、
事情を聞いたんだ…。
「神の眼がまた行方不明になったのです!」
「何だって?!」
妹のリリスは僕が旅に出掛けるのを拒んで、一人で駄々をこねていたけど、
何とか爺ちゃんのフォローを兼ねて、説得して理解させた。
僕も常日頃、リリスに対して兄らしいことをちっともしてないせいもあるのか、
リリスは僕のことを異常にあれこれ心配している。
今でもそうだって?…違うよ!今はちゃんと生活するように努力してるさ!
僕だってもう子供じゃないんだからぁ…

で、次の日、船でルーティ達を迎えに行くため、ノイシュタットに着いた。
…しかし、何気に物足りない感じがしたんだ。
そういえば、イレーヌさんに顔を見せなくちゃ…と、思い、
オベロン社のフィッツガルド支店を少しの間訪れることにした。
「ごめんください…。イレーヌさんいらっしゃいますか…?」
すると、社員の女性は気の毒そうに返答を返したんだ…。
「恐れ入りますが、支部長はこの前出かけたきり、戻っていないのです…」
僕はその時、何が何だか状況を把握できなかった。
いつも平和に過ごしているイレーヌさんがどうして?…僕の心の中はそれだけだった。
仕方がなく、僕とフィリアは港の方へ歩き始めた。
すると、僕が地面に頭を向けていたのもあって、誰かとぶつかった衝撃を受けた。
顔を上げてみると、そこにあのコングの姿があったんだ。
「おぅ!ずっと前の坊主じゃねぇか!久しぶりだなぁ〜。
んで、どうして今日はこんなとこにいるんだ〜?」
僕はすぐに、肝心なことを思い出し、コングに頷いた。
「…そうだ!今大変なことになっているんだ!破壊活動が勃発するかもしれない!」
「そりゃ大変だなぁ。俺様の力が必要なら、協力してやってもいいぜ」
「ありがとう。…でも、闘技場には戻らなくていいのか?」
「あぁ、大丈夫さ〜。当分の間は自由開放にしてあるから、坊主が心配する必要ない」
「コング、何だかすまない思いをさせるなぁ…」
「闘える切欠をくれる坊主らに、俺様は逆に感謝してるぜ〜」
「ありがとうございます」
「あっ!申し送れた。こちらはフィリア・フィリス。セインガルドにある神殿で
司祭を務めている」
「初めまして。フィリア・フィリスと申します」
コングは一瞬フィリアを見ると、いきなり赤面しちゃってたなぁ…
…まぁ、それはいいとして、僕ら3人は船でルーティ達を迎えに行き、
都合良く、ダリルシェイドで他の3人と合流することができた。
セインガルド王から詳しい事情を伺い、僕らは活動を阻止する旅を始めた…

天上の外殻を行き回る中、僕はヘルレイオスで衝撃的な再会を果たした…
「イレーヌさん?どうしてここに?」
「それは私の質問することよ。何故私の邪魔をするの?」
僕には益々、イレーヌさんの気持ちが複雑になってきた。
でも、僕自身大切なものを失いたくない!それだけの一心で頷き返した。
「イレーヌさん!今貴方が企んでいることは間違ってる!
これまでの平和を破壊することになるんだ!どうか、もう一度考え直して」
「…もう嫌なの。形だけの平和…義理に過ぎない人間同士のふれあい…。
もうこんな現実を見たくない。それなら、一度抹消して理想を築き上げたい。
貴方達もそう想うでしょう?」
「今がダメなら、力を合わせて直していけばいいじゃないか!」
「でも…、私自身、選んだ道を邪魔させるわけにはいかないわ…」
「結果がどうであれ、最後に悔やむのはイレーヌさん、貴方だ」
「貴方達がどうしてもと言うのなら、覚悟は出来ているわ。
さぁ、かかってきなさい!!」
こうして、痛烈な決戦が始まった。
しかしながら僕にはその時、戦う余地がなかったんだ…。
むしろ、イレーヌさんとは戦いたくなかった。
突然イレーヌさんは爆薬を投げ飛ばし、僕達にぶつけてきた。
武器で爆薬を跳ね返しながら少しずつ近寄り、彼女の腕を止めるのを試みた。
その時、チェルシーの放った矢が見事にイレーヌさんの肩に命中し、
直後イレーヌさんは降参を申し立てた…。
「私…やはり貴方達には敵わないわ…。これで私の負けが決まったわね…」
「イレーヌさん…」
「もう…この世界で生き続ける望みがなくなったわ…。私ってダメな人間なのね…」
「そんなことない!今ここで立ち直っているじゃないか!」
「私、もう一度生まれ変わって、新しい時代に生き直したい…それだけなの…」
イレーヌさんは静かに背後にあるドアに手を触れ、開いた瞬間突風が吹き荒れた。
まさか?!と思いきや、それが図星の結末だったとは…
片手で矢の刺さった肩を掴みながら、イレーヌさんは最後に言葉を頷いた…。
「もうここでお別れね…。あとはスタン君、貴方達に任せるわ……さよなら……」
…こうしてイレーヌさんは、天空から地上に身を投げた。
嫌だ、嫌だよ…!!僕は頭が真っ白になってしまい、叫ぶだけだった…。
「イレーヌさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!」
ドアから顔を出そうとした僕の両腕を、他の皆がしっかりと握り締め、
しぶしぶ元気付けをしてくれた。
でも、僕にとって、生きる上での新しい楽しみをおしえてくれたイレーヌさんを
ただ惜しむだけだった…。むしろ、僕を弟のように可愛がってくれた彼女を
止められなかった自分に、悔しさのあまり心の未熟さを振り返って感じた…。

“世界に生きる人間が、皆スタン君みたいな心を持っていたらいいのに…”
戦争が終わってからも、このイレーヌさんの一言が僕の心に刻まれ続けていた。
リーネに戻ってから、爺ちゃんは僕の表情を見て心配そうに頷いてきた…
「スタン、どうしたのじゃ?何か悲しい出来事があったのか…?」
僕は感情を抑えきれなくなり、男でありながら爺ちゃんに涙を見せちまった。
自分にとって惜しい人を失ったのが心残りで、じっくり話をおしえたんだ…。
「僕…、今回戦争をしてきて、色々学んできたんだ。僕らはただ、目標があって
戦っているだけじゃないことをね…。大切なものを守る心、それが一番の
理由なんだなぁって…」
「スタンよ、わしも昔兵を務めていた頃、人間同士の衝動をたくさん目にしてきたのじゃ。
争いが起きる度に、いつも心に呟いていたこと…何事にも温かく受け入れられる力が
必要であることをな…」
「爺ちゃん……」
「少しの間、部屋で静養しているがいい。リリスにはわしから説得しておくからな…」
「ありがとう、爺ちゃん…」
それから数日間、僕は部屋でただ時間が過ぎるのを待っていた。
ようやく立ち直ることができて、改めて自分自身に誓ったこと…
イレーヌさんの分まで頑張って生き続ける…ってね。

 

〜第3章へ続く〜

 

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