第15回 平成17年(2005年)7月21日掲載

 ホンドキツネ


 
 

 今年4月末、キツネの撮影に出かけたら、数時間待っても、お目当ては出て来ません。かわりに、タヌキがのそっと現れました。なんだか化かされたような気分で、その日は帰りました。
 再度チャレンジした5月の初め、今度は観察地に着いてすぐ、川の対岸にキツネの姿が見えました。運が悪い時にはいくら粘っても出ないけれども、いる時にはいる、実にあっさりとしたものです。
 幼獣2頭と母親らしい成獣1頭、合計3頭が見えます。子供達は元気いっぱい、タンポポの綿毛を散らしながら、子犬のようにじゃれ合っていました。
 近ごろ、県内ではタヌキやキツネの個体数が増えているようです。正確な数を調査したわけではありませんが、目撃例は、確かに多くなっています。
 1週間後に、この2頭にじゃれかかって追い払われた、別の子供1頭がいました。逃げて行った方向を調べてみたら、離れたところに、もうひとつ、キツネの巣穴がありました。もしかしたら、このふたつの巣穴のキツネたちは、親子または兄弟姉妹、いとこなど、近い関係にあるのかもしれません。
 昨年、他の場所で、キツネがキジの親子を襲っているのに出会ったこともあります。藪の中の出来事で、詳しいことは見えないのですが、雛を守ろうと必死のキジの様子が伝わって来ました。私は、野鳥の会の会員ですけれど、キジを守るために、キツネを追い払うことはせず、静かに見守っていました。胸は痛みますが、キジもキツネも、同じ自然の生き物だからです。
 いろいろな場面に出会い、ヒトも、ひとつの環境を分ち合う生き物の1種であることの、責任を感じます。


写真館入口に戻る
読売連載入口に戻る
前に戻る
次に進む