第14回 平成17年(2005年)5月26日掲載

 コチドリ


 
 

 昨年5月の肌寒い日、さいたま市内、荒川堤防の拡幅された空き地に、コチドリの親子(写真)がいました。
 お母さんの胸の下、変な所に足が見えます。羽の中に入っているヒナの足です。生まれてまだ数日のヒナの大きさは、せいぜい私の親指くらい。マッチ棒より細い足。赤ちゃんのくせに千鳥足で歩き回り、寒くなるとお母さんの胸の下にもぐりこみ、暖まります。
 漢字で「小千鳥」。スズメより少し大きい程度、日本で最も小さいチドリの仲間です。時々は越冬するものもいますが、大部分は春になると南の方から渡ってきて、日本で繁殖、秋にはまた南に帰っていく夏鳥です。ピョーピョーピッピッピと鳴きながら、鋭い翼で飛び回ります。特別な所ではなく、気がつけば、かなり身近にいるはずです。
 巣を作るのは河原や造成地など、土が主体で小石が散らばり、丈の低い草が少し生えているような所。浅いくぼみを作り、小石などを少し集めた、ごく簡単な巣です。知らない人が見たら、たとえそこに卵があっても目に入らず、鳥の巣とは分らないでしょう。
 そのような所で繁殖する鳥は、コチドリのほかに、イカルチドリやコアジサシなどもいます。知らずに立ち入ったり、車やバイクを乗り入れたりすると、鳥たちには、重大な脅威になります。
 何もない荒地に見える河原や広場などにも、踏まれたらひとたまりもない卵を抱いた母鳥や、くぼみにぴったり身を伏せた小さなやつがいるかもしれないということを、考えていただけませんか。
 ましてそこが立ち入り禁止になっていたら、どうぞそれに従ってくださるよう、お願いします。 


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