タシギ属4種(ジシギ類)の識別

 タシギ、オオジシギ、チュウジシギ、ハリオシギの4種は、秋の関東平野では、水田地帯の同じような環境で見られ、大変に識別が難しいものです。
 かつての図鑑では、「野外での識別は困難」と記載されていました。
 しかし、近年多くの人が研究を重ねて、少しずつ野外識別の手掛かりが見えてきました。
 その中で、私自身の観察結果から、間違いがないと思われる識別点だけを整理してみました。



 前提その1 秋の渡り途中の関東地方で、地上に降りている状態での識別です。
 前提その2 種の同定は、最終的には尾羽によります。尾羽で同定できたものと連続しているシーンにある映像をその種として、特徴のチェックを進めました。


  タシギ

尾羽は、全体がほとんど同じ幅で、外側の1枚だけが白く見えます。













ジシギ類の識別のポイントのひとつが「下の肩羽」。
この部分。




タシギの場合は、体の前側の羽縁が太く長くしっかりと白くて、体の後ろ側の羽縁は見えません。
遠くから見ても、白い斜めの線が並んで見えます。

くちばしは4種の中でもっとも細く長く見えます。










翼下面は全体に白っぽく、太い灰色ラインがあります。














   オオジシギ

尾羽は外側4枚くらいが幅が狭く、白く見えます。


下の肩羽は、タシギのように間をおいて並んでいる感じではなく、小さく密に並んでいます。体の後ろ側の羽縁も細く見えます。






くちばしは短く、基部が太く見えます。
目の前の白色部は、タシギより幅広く見えます。




オオジシギ(左)とタシギ(右)

並べば、オオジシギの方が大きく、白っぽく見えます。
ただし、単独でいるジシギを、「白っぽくて大きいから」という理由だけでオオジシギと同定するのは、間違いの元です。

翼下面。
太い灰色ラインはなく、基部に細かな縞模様があります。
































こちらはおまけ。
北海道の電柱の上で鳴いていた夏羽のオオジシギ。
くちばしや下の肩羽の特徴は共通しています。












   ハリオシギ

ハリオシギが尾羽を広げた場面はまだ撮影できていません。
尾羽のつくろいをしている時には、細い尾羽をしごくシーンが見えました。
                        
広げてなくても、ハリオシギの尾羽は、大変短いという特徴があります。
赤い部分がわずかに見える程度です。
タシギ、オオジシギに比べて、尻の部分も小さく見えます。
ただし、尾羽を下げたときは、長いように見えます。初列風切と重なっている状態で比較することが必要です。




























下の肩羽は不揃いで、羽縁は前後ろとも同じような幅で細く、先が丸く見えます。
くちばしは太く短く見えます。

頭側線が他の3種より黒味が少なくて茶色っぽく、白い斑点が見えます。


ただし、この写真はオオジシギです。この頭側線も茶色っぽく白い斑点が見えます。こういう例もあります。
つまり、頭側線に斑点があるからハリオシギであるとは言えないが、ハリオシギにはそういう特徴が見えるということです。
















   チュウジシギ
4種の中で最も識別が難しいのがチュウジシギです。
尾羽は外側5〜6枚が細くて黒っぽく見えます。
チュウジシギの場合は特に厳密に、この尾羽でチュウジシギと同定できた場面と連続している映像だけを採用しました。
















下の肩羽は、羽縁が前後ろともあまり差がない幅で、丸くつながって見えます。

くちばしは細めでタシギのタイプですが、タシギよりは短めです。
全体的に色が濃く見えます。

とは言え、現実的には、尾羽で確認できない限り、他の3種ではないし、チュウジシギの特徴に反しないから、チュウジシギじゃないかな、という消去法的な識別にならざるを得ないのではないかと思います。

















現在の時点で、私が多分間違いないだろうと思う点だけをあげてみました。
ご批判、ご指導、大歓迎です。
知識をすり合わせて、識別方法を練り上げていきませんか。

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