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格闘ゲームのネタというのはある種、出尽くした感がある。 これは誰しもが思ってる事であろう。 確かに新たなるネタがない訳ではないし、現在進行形でネタとなるものが生まれ続けてはいるが、やはり出尽くし感はぬぐえない。 それは言うまでもなく、かつて格闘ゲームならなんでも良いと言った感じで次々と祖作乱造された企画があらゆるものを格闘ゲーム化してきたからだ。 まさに格闘ゲームバブルとでも言うべき状況の中で良作、駄作を問わず、あらゆるものが格闘ゲームとなった。 時代劇、チャンバラ、学園モノ、テッコンドー、マーシャルアーツ、SF、ロボット、怪獣、恐竜、ドラゴン、仙人、八百万の神、アニメ・・・ちょいとモチーフを挙げてもこのありさま。 あるいは原作付の作品。 ガンダム、ゴジラ、ブルース=リー(日本では未発表)、ジャッキー=チェンといったなじみ深いキャラクターだけでなく、海を越えて三国志や水滸伝、アメコミヒーロー達と言ったものまでをも貪欲に取り込んでいった。 そんな状況だから、ネタが枯渇するのも当然といえば当然。 時、折りしも93年の”バーチャファイター”革命により、3Dポリゴン格闘ゲームというのが既に一般的となってきた97年。 このゲームはリリースされた。 水木しげるの妖怪+3Dポリゴン格闘。 まさに究極のコラボレーション。 究極すぎて、ついてゆける人間がどれだけいるのだろうか? かなり疑問だが・・・あえて、考察するに・・・ ・水木しげるのものなら何でもいいという、よっぽどの水木しげる好きか。 ・格闘ゲームなら何でもいいという、よっぽどの格闘ゲームバカか。 ・水木しげるがかなり好きで、格ゲーもかなり好きという人間か。 いずれにしろ、この三つの可能性を全て足してもおそらくタカが知れた需要だ。 私はこんな狭いユーザー層では利益が出るとは到底思えない。 だが、それにもかかわらず、このゲームはちゃんと発売されたのだ。 ・・・ありがとう!! 私はこういうゲームを待っていたのだ!! 水木しげるが好きで、格ゲーバカの私の為にあるようなソフトなのだ。 しかし、私はセコイのでこのゲームを予約して買うなんて真似はしない。 そんな調子で買ってたら、金がいくらあっても足りゃしないからだ。 と、言う訳で期待の新作にもかかわらず、中古で出回るまで待った。 ごめんなさい。 ウソです。期待してただなんて・・・。 実はあんまり期待してなかった。 コンセプトはかなり気に入ったが、発売が”KSS”の時点で・・・ 「駄目だこりゃ」と思いっきり警戒したのだ。 そして、置いてある店が少なくて見つけるのが結構大変だったと言うのも内緒だ。 さて、こうして手に入れたこのソフトは確かに今ひとつ、ふたつのゲームだが、見るべき点は意外とあった。 動きは悪いが、PSのポリゴン格ゲーの平均から考えれば、こんなものだろう。 ネット上で"FIST"や"ファイティング・アイズ"と同等に扱う連中がいるが、断じてあそこまで酷くない。 だって、そいつらはゲームになってないけど、こっちはゲームになってるんだもの。 そう言う事を言っている人はこの三つのゲームをしっかりやりこんでいない証拠である。 しかし、その三つを三つともやりこむようなバカは・・・いや、大馬鹿は私のような極限られた人間だけなのだが。 このゲームは多少、動きはぎこちないが一応ちゃんとコンボは繋がるし、”鉄拳”シリーズの10連コンボに似た目押しコンボも存在している。 この時点で”FIST”や”ファイティング・アイズ”とは比べ様もないくらいにマトモだ。 グラフィックに関しても確かに角張っている。 角張っているが”フィスト”や”ファイティング・アイズ”のように絵になってないなんて事はない。 砂かけ婆が横から見ると顔が真四角で豆腐のように見えるなんて事はあるが、色使いは実に水木しげるらしく、工夫はないものの暗く美麗な背景とあいあまって、実に風情がある。 背景がアニメーションするといった工夫がない分、画面内を枯葉や雪が舞い散るのが一層、雰囲気を盛り上げてくれる。 雨がちょっと太すぎる気がするが、細くするとそれはそれで味がない。 音楽も名曲ではないが、雅楽風からデスメタル風まで実に雰囲気にマッチした佳作だ。 惜しむらくは、一部に爆笑もののショボすぎるグラフィックがあること。 四角い砂かけ婆や六角形のこなき爺は意外と見慣れるが、エンディングのアラレちゃん走りする雪ん子などのへっぽこ具合は失笑を禁じえない。 とはいえそれでも”FIST”や”ファイティング・アイズ”の一番良いアニメーションパターンにも勝っているだろう。 しかし、”鉄拳”シリーズなどのPSの名作3D格ゲー達に比べれば、やはり遥かに劣っている。 初代の”鉄拳”にさえ勝てないだろう。 最もこれらは、格闘ゲームのために作られ設計されたキャラなので、もともと存在するキャラで格闘ゲームを作るよりは容易いだろう。 だが、妖怪と言えばそれこそ無数にあるのだから作りやすい妖怪を出せば良いとも考えられる。 カラス天狗・雪ん子・鬼・砂かけ婆・こなき爺・河童・かまいたち・一つ目入道・女吸血鬼・死神・・・ 事実このゲームに登場するのは人型の妖怪ばかりだ。 唯一、かまいたちが人型ではないがこれも二本足で立ち上がって戦うので、実質人型だ。 一部キャラが圧倒的に有利に作られている為ゲームバランスが取れているとは言えないのだから、それならむしろもっと非人間系の妖怪を出して欲しかった。 類似のコンセプトで西洋ファンタジーモンスターにプロレスをさせた今は亡き”データーイースト”の”デスブレイド”においてもドラゴンやヒドラがプロレスをしていたのだ。 そう考えると実に工夫が足りない! 巨漢の一つ目入道も他のより二周りくらい大きいだけだし、もう少し大きくても良いと思う。 技に関しても、そうだ。 もっと妖怪らしく珍奇なものが欲しかった。 一つ目入道と河童意外は飛び道具を装備しているし、昇竜拳タイプの迎撃技を持っている者も多い。 半分くらいのキャラは超必として乱舞技を装備しているし、やはり技にまで今ひとつ妖怪らしさがない。 せっかく妖怪という異形のモノを主役に据えながら、どうにもありきたりのゲームの格闘技を脱却できてないのだ。 だが、砂かけ婆の乱舞は水木マンガのお約束 "ビビビビンタ"なので、とてもステキだった。 ここは素晴らしい! 実に素晴らしい!! ここだけで座布団は2枚だ!! それしても返す返すもKSSのゲームとは思えない程に良い所が結構あるだけに、実に惜しい。 (KSSだってデベロッパーによっては意外と傑作があるのだが知名度はあまりに低い) 一般評にあるとおり、水木先生の次にクレジットに出てくるのが声優なくらい、無駄に声優に凝っている。 ”宮村優子””置鮎龍太郎””山口由里子”といった売れセン声優を起用する事に開発費を使うくらいなら、ここら辺を全部往年のベテランさんに差し替えて、浮いたギャラ分を開発に当てれば、名作に化けれた可能性はあると私は思う。 なのに声優で話題を釣る方を選んでしまうのだ。 宣伝力命の昨今のゲーム業界においては、ちゃんとしたゲームを作っても宣伝不足からユーザーが付いて来ず”知る人ぞ知る名作”となって、マニア雑誌で紹介されたのを機に、プレミアソフトとして中古市場の高嶺の花になるだけ・・・というリスクが大きいというのは分かるが・・・。 (すなわちメーカーは全然儲からず、上手く買い占めたマニアやマニア向け業者が、タダ同然で入手したのを定価より高く売ってしこたま儲けるだけという、とても悲しい状況の事である) PS2でじっくりと丁寧にリメイクすれば、きっと名作になるだろうが、どう考えても失敗のこの企画に再度ゴーサインがでるとはとても思えない。 カプコンあたりなら納得がゆくものを作ってくれるやも知れないが、ヴァンパイアという類似の看板ゲームがある以上、今更こういうコンセプトのゲームは作らないだろう。 日本妖怪の対戦格闘ゲームの未来は明るくない。 そう思うと実に残念である。 最後に似非ファッション雑誌のようなキャラ解説が寒いという話をよく聞くが、これは水木先生の妖怪事典等にあったギャグへのリスペクトの類であると思われる。(笑) (分かる人だけ笑ってくれぃ!!) と、いうか、このノリが分からないような人には水木しげるを語る資格はないのかもしれない。
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