岬の灯
春の日に
来し方 道の短さを
嘆きもせずに
磯の波が
編み目を洗っていた
日射しの中の
水晶の砂
立原の野から取り寄せたまま 沈んでいる
今は 静かに
夜の潮が 覆ってゆき
光が遊ぶ・・・
ここは 夢の岬の灯
水晶
みずうみに
ひとり 君はやってきた
底に光っていた
あの十字架を胸に
君は
おぼえているのだろうか
あの高原の日々を
なつかしい光を・・・
あの瞳の中にあった 湖に向かって
わたしも 何かを 言づけたかったのだ
またいつか ここに来ようと・・・・
とおい君に向けて
夏
夏がゆく
校庭の隅の影が 次第に 長くなり
蝉の声がやんだ
子供たちが 水辺で 花火を持ち
光の束を落として 流れていく
夕立もなかった 夕暮れ
夜の上をすべってゆく 夏が行く
草の葉の上の 虫の
緑の瞳の上に
星雲がかかっていた
そろそろ おまえも
滴のそばで
泣き出してもよい頃だ
初秋
まつむし草の原を
どこまでも歩いていった
雲が空を仰ぎ
わたっていく
こんな所では
神様も降りてくるであろう
日だまりの下で
塔に鐘がある牧場が広がり
牛が草をはんでいる・・
空はまだ明るい
何を思い煩うことがあろう
風が雲を仰いで
わたっていった
そろそろ わたしも
白い雲を追って
ゆっくりと降りていこう・・・・・
秋
明るい森の中で
ゆれていたのはだれか
風がそよぎ
こずえが息をしていたところに
木の葉が舞い
水が光と戯れている
こんな所で 静かに揺れていたのは
おまえだったのか・・・
木の葉が熟し
夢の中で
わたしも うとうとと息をしていると
ゆらゆらと おまえがゆれていたのだった
つかの間の秋の一日
秋は空の下で 次第に深まっていき
地上も
ゆっくりと熟れてゆく・・・
POEM
風間 明
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